豊作と平穏を祈願 ラハ族のパン・ア際

北部山岳地帯のソンラ省に居住する少数民族のラハ族は、人口約1万人。ベトナムで最も人口の小さい少数民族の一つだが、豊かな伝統文化を今に伝える。中でもパン・ア(幸運祈願)祭は、代々続いてきた大切な行事=写真。タケノコが地面から顔を出し、バウヒニア(香港欄)が山に咲き誇る旧暦の春、毎年行われている。

ムオンラ県ピトン市ナタイ村。青い山々に囲まれた同村のラハ族のパン・ア祭は、豊作や健康、幸運の祈願と、村を守る精霊への感謝を込めて行われる。

儀式を執り行う祈祷師は、現生と魂を結ぶ者と信じられている。儀式では、竹細工の鳥や花をつるした竹やバナナの木、サトウキビが立てられ、ニワトリとアヒル、酒、もち米、くだものが供えられる。祈祷師は、祈りのことばを読み上げて先祖と大地と森、川の精霊を呼び、村の平穏と繁栄、豊作を祈る。祭りには、周辺の村の人々も招かれ、参加者で供物を分かち合う。

儀式の後は、歌と踊りの盛大な宴に。祭りは、若者が友人や恋人と出会う大切な場となってきた。何世代にもわたって大切に守られてきた歴史ある儀式、パン・アは、ラハ族の魂を伝承する重要なイベントとして、これからも末永く継承されていくことだろう。