ハノイ市、2022年の目標を発表 新型コロナを制御し、経済回復へ

ハノイ市の今2021年の域内総生産(GRDP)の成長率は、2.35~3%になる見込みだと発表された。新型コロナウイルスの感染拡大などが影響し、当初目標の7.5%を大きく下回る結果となった。安全で柔軟な感染症対応策とともに、経済の回復と発展を実現することが、首都の2022年の大きな課題となりそうだ。

◇工業生産は回復
GRDPの目標達成はならなかったが、ハノイ市の歳入収入は安定しており、収支も黒字となりそうだ。その一つの要因が、工業生産の力強い回復だ。昨年4.7%増だった工業生産指数は4.78%を維持し、ハノイ市近郊では農業生産が2.83~2.95%増で域内の住民らの食料の維持は実現できる見通しだ。市は、国内企業や外資系企業の課題解決に焦点を当てるために、企業との対話会議を2度開催した。

ハノイの今年の予算収入は、241兆8000億ドルだった。新型コロナの感染拡大などの影響を受け、前年比84.1%にとどまったが、国に割り当てられた今年の金額は、約102.7%で目標を達成した。一方の支出は、ハノイ市人民委員会が設定した予算の78.8%の85兆6000億ドンになると見込まれる。

新設企業の登録総資本は前年比16%減の345兆ドン。ハノイ市の輸出の売上高は前年比1.2%減で149億8000万ドル。輸入は大幅に増加し、同18.33%増の343億5000万ドルになると見込まれてる。

ハノイ市共産党委員会のディン・ティエン・ズン書記長は、今年、同市が新型コロナウイルスの感染拡大の影響を色濃く受けたにもかかわらず、多くの目標達成し、社会保障が維持されていると成果を強調した。しかし、管理手続きを担う役人の能力不足や、部門間の効果的な調整の欠如、いくつかの分野で基準を下回る作業品質など課題も見られ、「これらは、近い将来に解決が必要な問題だ」と懸念を示した。

◇感染制御と経済回復を両立
2022年の世界経済の回復と成長は、今年を下回る予測で、これもベトナムとハノイ市の景気回復の足を引っ張る要因になると懸念されている。ハノイ市は来年度、経済の回復と発展の促進▽社会保障の確保▽人々の生活水準の向上▽新型コロナの感染拡大への柔軟な適応▽効果的な感染拡大制御などを実現しつつ、効果的な新型コロナ対応を目指すことになる。

2021-2025年の経済発展期間においても、来年は極めて重要な1年になりそうで、ズン書記長は、各省庁や地域のリーダーらの責任を再確認したのに加え、新型コロナの感染予防と管理における役割を再確認した。

ハノイ人民委員会のチュー・ゴック・アイン書記長は、各地区当局や機関などに対し、それぞれに目標とその達成に向けた計画を急ぎ検討するよう促した。また、今年足りなかった点を急いで改善し、新規プロジェクトを策定することなどで、来年の目標や任務の完遂を求めた。

さらに、都市の社会経済回復と発展の基盤となり、政府決議128/NQ-CP号に従って新型コロナの感染拡大防止や疫病管理などを迅速かつ強力に実施するよう、各地域や関係当局に要請。感染拡大などの影響を受けた企業や組織、住民世帯などの困難を緩和し、支援策を採用するよう求めた。

2022年の歳入は、今年の28.8%増の約311兆6500億ドンになる予定。アイン書記長は関連部局と各地方当局に対し、損失を避けるための管理強化や税収回収を促したほか、各地域当局が税収や手数料、その他の収入を適時に徴収するよう求めた。さらに、予算支出の効率化を確実化するため、繰り返される支出を削減し、開発や発展に向けた投資により多くの財源を充当する考えを示した。

2022年のGRDP成長率の目標としては、7~7.5%の成長を目指す。また、一人当たりのGRDPの目標数値を1億3900万~1億4100百万ドンとするほか、社会開発投資資本を前年度比10%成長させ、輸出総額を5%引き上げるとした。さらに、ハノイ市では、消費者物価指数を4%以下に抑え、25カ所の地域を先端農村地域に追加認定するほか、さらに15の村を新しいかたちの農村地域として再認識させることなども、新年度の目標に据えた。