ハノイ市、農産物販促の原動力に 大手量販店などで販促イベント展開

約1000万人の住民、何百万人もの観光客と裕福な中産階級をかかえるベトナムの首都、ハノイは近年、近隣の都市や省で生産されるさまざまな商品の集積地になっている。特に農産物にとっては、ハノイは重要な市場で、買い手と売り手をつなぐ橋渡しの役割を果たして国産の農産物が確固たる地位を築く手助けをすると同時に、海外向けの輸出なども促進している。

◇近づくビジネスと消費者
2021年の11月下旬、ハノイ市コーザイ区チャン・ズイ・フン通りにある大手スーパー、「ビッグC」ンの店舗で、首都圏やその他の都市で栽培された多様な果物や農産物を販売するイベントが開催された。1週間にわたったこのイベントでは、ハノイ近郊に加え、ハザン省、バクザン省、ラオカイ省、ハイズオン省、ソンラ省などの農産物が扱われた。扱う製品はいずれも、品質や安全性に加え、生産地証明などの要件を満たしたものだけを厳選した。

ハーブやトロピカルフルーツを原料とした食品などの研究開発と販売を手掛けるラビテ社(ホーチミン市)は、ハノイ産業貿易局が立ち上げたこの農産物の販売促進企画に、過去2年間、参加してきた。同社製品の販売代理店、ズオン・トゥイ・アン社は、このような企画に参加することによって「ラビテ社の商品と消費者の間の距離が縮まる」と期待している。

同様にハノイ産業貿易局のイベントに参加したアルファルコ国際合弁会社は、ベトナム伝統の薬草類を使った健康食品の製造会社だ。同社のホアン・ゴック・チエン取締役は、「2021年には、私たちが天然原材料を使って開発した薬や食品など37点を、このイベントで紹介した」と話す。

ソンラ省のフンティック農業協同組合の組合員であるグエン・ティ・センさんも、同組合がハノイへの商品販売を促進するために、数多くのイベントに参加したという。同農協ではベトナム版の農業生産工程管理(GAP)であるVietGAP基準や、オーガニック製品の栽培基準などを遵守して農産物を生産している。なかには、ベトナム一村一品(OCOP)認証で、三ツ星や四ツ星を獲得している農作物ものもある。組合は大量の農産物をこのようなイベントで販売したほか、ビッグCを含めた大手量販店とも商品の販売契約を締結している。

◇国内消費を加速
新型コロナウイルスの感染拡大が影響し、輸出が困難になっていることから、地域や企業は、ハノイ市の販売促進活動が、ベトナム産の果物や農産物などの国内販売の増加につながると期待している。

ハノイ市は1000万人近い消費者を抱え、他の都市や地方の製品の大きな受け皿だ。ハノイ産業貿易局のチャン・ティ・フオン・ラン局長代理は、首都の産業が生産者と消費者を接続することや販売促進活動に、重要性を感じている。商品の供給源を分散させ、多様にできるほか、生産促進にもつながるからだ。

今後もハノイ市では1週間単位で、さまざまな都市や地方の果物や農産物販促イベントを企画する予定。また、地方の農産物や製品の販売拠点を設立したり、企業が展示会などに参加するための有利な条件を創出したりしていく考えだ。また、これらの活動を組織的に維持していくために、他の都市や周辺の省などからの協力も求めていく。

ハノイ市は2022年上半期には、果物や農産物などの販売のため、首都の企業がオンライン型の商談会に参加することを支援していくという。そのために他の都市や省などにも協力を要請していく方針だ。