見渡す限りの水田が広がる北部山岳地帯、ランソン省バクソン渓谷。毎年収穫の近づく7~10月ごろになると、この地域には大勢の観光客が訪れる。

ハノイから北へ約200㌔。少数民族、テイ族の竹の家が並ぶ山道を進むと、バクソン渓谷が見えてくる。標高約600㍍を超えるナ・レイ・ピークから見下ろすと、そこには息をのむような光景が広がる。この季節なら、実りに向けて緑から黄金色へと移ろいゆく水田が、まるでタペストリーのように広がる。

バクソン県のクインソン村は、約400世帯のテイ族とヌン族が居住し、伝統文化と暮らしを守っている。美しい景観を観光資源にしようと、地域ではさまざまな取組が進められている。観光がもたらした収入によって、村人は家を補修したり、工芸品作りを再開したり、宿泊設備を整えたりすることができるようになった。この10年で、宿泊サービスを提供する家が8軒になった。

村の工芸品として有名なのが、陰陽模様のタイルだ。タイルは単に建材としてだけではなく、エスニックなアートとしても人気がある。旧正月、県内ではテイ族のロントン祭も行われ、伝統文化に触れようと地域は、大勢の観光客でにぎわう。