イェンバイ省のシナモン 技術革新で輸出拡大へ

ベトナム東北部、イェンバイ省の輸出向け特産品といえば、お茶とシナモン。とりわけ、シナモンは現地の基幹産業の一つとなっており、約30000㌶の広大なエリアで栽培されている。シナモン・ビジネスの将来性に大きな期待を寄せる同省は、2015年までに栽培面積を約1.3倍の4万㌶まで拡大する方針だ。

イェンバイ省の乾燥シナモン樹皮の年間生産量は約5000㌧、シナモンオイルは150~200㌧に上る。総輸出量は1000~2000㌧で、主に中国、台湾、インドに輸出されている。シナモンは漢方薬などの医薬品のほか食品、香料として使われている。シナモンの枝から抽出されるシナモンオイルは、健康によいとされるけい皮酸アルデヒドを85%以上も含み、主に漢方薬や食品用の香料として使用されている。

イェンバイ省内の計8カ所のシナモンオイル抽出施設では、年間700㌧を製造することができる。その一つ、トランイェン区クイモン村の外資系企業、ベト・トルン・フレイバー社(Viet Trung Flavor Ltd. Company)のプラントでは、年間100㌧の生産能力が可能。また、ダット・ターン・エクスポーティング・コマース社(Dat Thanh Exporting Commerce Ltd. Company)は、ドン・クオンにドン・クオン村とハン・タン村の2カ所にプラントを持ち、年間で計100㌧の生産能力を誇る。

乾燥シナモンと生木状態のシナモンの枝は、顧客のニーズによって選別され、オイル抽出用や粉末などに半加工される。大半のシナモン粉末はインドに輸出される。インドは年間3500~4000㌧のシナモン粉末を輸入している。中国と台北には5~10㌧が輸出される。中東や西アジアにも年間1000㌧が輸出されている。コーヒーなどに添える筒状に加工したものやシナモンオイルは中国、米国、フランス、ベルギーに輸出されている。

栽培面積16000㌶以上を誇るバン・イェン地区は、「シナモン王国」として知られ、27の村で栽培されている。年間4000~5000㌧のシナモンを生産、数十億ドンを稼いでいる。近年、地区内の多くの企業が大量の乾燥シナモンを購入するとともに、ダイ・ソンの何百という小規模なプラントを買収。また、ビエン・ソン村とホン・ドゥ・ハ村ではシナモンの葉からもシナモンオイルも抽出している。こうした資本の集約によるビジネス規模の拡大や、新たな抽出法への取り組みは、シナモン産業の発展に向けた新たなステップとして期待されている。