ハイフォン、北九州市の支援で「グリーン港湾都市」へ

環境への配慮と経済発展の両立を目指すベトナム・ハイフォン市が、「グリーン港湾都市」への転身を目指して始動した。環境配慮型のまちづくりで実績がある北九州市からの技術供与や企業間交流などを得て、具体的な「グリーン成長計画」を策定していく。

ハイフォンの「グリーン成長計画」は、温室効果ガスの低減などを目指す国の「グリーン成長戦略」に基づく。両市が今年4月、姉妹都市協定を結んだことから北九州市の支援が加速し、来年3月には計画を策定する。

北九州市は、積極的なCO2(二酸化炭素)ガス削減策などを組み込んだ環境配慮型の都市整備を展開しており、同分野での企業や人材の育成にも力を入れる。その成功事例やノウハウを、2010年に設立した市の「アジア低炭素化センター」を通じて海外に移転する「グリーンシティ輸出」を展開している。ハイフォンの事例は、インドネシア・スラバヤ市に次いで2例目。

北九州市は4月、ハイフォン市内や、同市の東約50キロ沖のハロン湾(世界自然遺産)に浮かぶカット・バー島=写真=などを調査した。また、7月末には、北九州市とハイフォン市人民委員会等の関係者らが、現地で意見交換を行った。北九州市側は、生活排水や廃棄物処理などの生活インフラの脆弱性のほか、民間活力がうまくできていないといった課題も指摘。一方で、ハイフォン側からは、「技術供与だけでなく、人材の育成も協力してほしい」と要請があったという。

計画の策定に先立ち、北九州市は8月27日、独自の高度浄水処理技術をハイフォン市に導入すると発表。ほかにも、カット・バー島への環境配慮型観光施設の誘致など、さまざまなパイロット事業を盛り込む予定という。計画策定後も、長期的に支援を継続することで、北九州市にとっては、地元企業がベトナムに進出する足掛かりを作ることができると期待される。