ベトナムの第12回共産党大会の開幕で、グエン・フー・チョン共産党書記長は、第11回党中央執行委員会などに関する6項目からなる報告書の内容を国民に示した。

写真㊤＝演説するグエン・フー・チョン共産党書記長
チョン書記長は演説で、「第12回党大会でわれわれは、国家を迅速に、強固に発展させる努力を積み重ねることを決意した」と宣言した。30年間の革新の成果と、第11回党大会以降5年間の実績については、「党が今後、賢明で正しい決定を行っていくための強固な土台となり、新たな発展の時代への幕開けとなる」と評価した。

また、党と全人民、軍部などがたがいに同調し、力と情熱を合わせることを呼びかけ「協力は無限の知恵とパワーを生む。われわれは社会主義及び国家の繁栄、国民の幸福実現へと向かっている」と力強く語りかけ、演説を結んだ。

以下はその報告内容の要約。

1　ドイモイ政策にのっとった歩み
（ベトナムが1986年以来進めてきた）ドイモイ（刷新）政策の30年は、ベトナム共産党、国家、市民（人民）のすべてにおいて成長を記録しベトナムの建国と防衛の面でも重要な歴史的な転換期である。ドイモイはベトナムが徹底的に、深く改変した期間でもあり、強い国家、民主主義、公平性、文明、豊かな生活といった目標のために、共産党と市民が展開してきた革命である。

30年間を振り返ると、わが国では社会主義共和及び祖国を守る過程で、ドイモイは歴史的な意味を持ち、大きな成果を収めている。今後はさらに、国の発展を堅固なものとしながらスピードを速め、難しい問題や弱点などを集中的に解決し、克服することを目指していく。

2　強固で迅速な発展　近代的工業国家を目指す
第8回党大会において、2020年までにベトナムを工業化・近代化させるという目標が設定された。党と市民はこの目標を実現するために努力してきたが、さまざまな原因により目標が達せられなかった項目も多い。

今大会後の5年間は、この目標を達成するために国はさらに努力を続け、経済を強固に、速いスピードで発展させていくことを目指す。特に重要視し、効果的に実施すべきなのは、以下の項目だ。

継続的な成長と工業化・近代化の強化▽社会主義の方針にのっとった経済市場の開拓▽教育やトレーニングの抜本的な革新▽人材力の質の向上▽技術や科学分野での潜在的能力の強化▽人材と文化の開発▽社会発展の管理と社会的公平の確立▽資源管理や環境保護、気候変動への敏感な対応―などが挙げられる。

3　堅固な防衛と安定、平和の維持　――　外交活動をより効果的に　国際社会にも積極的参加
国の防衛と安定における重大な目標は、ベトナムが民族の強さを発揮し、政治システムや国際コミュニティの支援に活かしていくことだ。そのためにも、今後は外交政策などに力を入れる。

4　民族の団結力、社会民主主義の発揮で社会主義共和国を建国
民族の団結はベトナム革命から続く戦略であり、祖国の建国と防衛の強力な動力である。共産党の指導のもと、労働者や農民、知識層の連携という基礎の上に、民族団結を強化していく。また、防衛のために市民の力を活用する。ベトナムを公平で文明的な強い国にしていくことを目標に定める。

私たちは社会民主主義を今後も促進し、全ての国家権力が市民に属することを確約する。民主主義の促進は、法制の強化と市民の責任、それに規律や社会規範を維持することを伴う。社会安全や治安を脅かす行動には、厳しく対処することが必要だ。

社会主義共和国の構築には立法、行法、司法の改革が、政治システムや文化、社会の改革と同時に実行される必要がある。

5　清廉で堅固な党の確立、指導者の能力向上と闘志の向上
第11回共産党大会で決議されたことをここ5年間実施してきた結果、党は政治、イデオロギー、組織の3つの側面から、真摯に任務を果たし、重要な結果を残してきた。

中央から地方に至るまでの党員は第11回党中央委員会第4回総会の決議を徹底的に実施する構えだ。党幹部らは責任感や指導力を高め、仕事のやり方も改善し、自らの弱点を反省している。汚職、無駄の状況は、少しずつ減少している。多くの重大な汚職事件が摘発され、これらを法的に厳しく処理したことは、人民からの支持を得た。

党幹部の教育などが急ピッチで進められている。また、第11回党中央委員会第4回総会の決議を実現するためのプロセスは、ベトナムが困難を乗り越え、政治の安定を維持し、社会経済を発展させる動力となっており、今後、党への市民の信頼は次第に回復するだろう。

党は政治的な志を持し、革命の本質と社会主義、民族独立の理想といった目標を着実に達成していく考えだ。

党のメカニズムと組織、政治システムの効果はまだ不十分だ。今後、党はさらに強化されなければならない。第11回党中央委員会第4回総会の決議の実現に向けて努力を続けていく。

6　第12回共産党大会の主要な責任
ベトナム共産党は、第12回党大会の期間中になされた党決議を全面的に実施するとともに、次のような責任を有する。

①強靭な党建設
党員の政治思想、倫理、ライフスタイルなどの悪化を防ぐための、幹部の教育を行う。

②政治システムにおける組織の合理化
すべての組織の合理化を図り、有効性、効率性を高める。汚職やムダ、官僚主義を排除していく。

③経済成長の質の向上
経済面では、経済成長の質や労働生産性、競争力を高めるということに焦点を当てる。具体的には、成長モデルの改善と経済システムの統合▽工業化・農業近代化・現代的な農業の確立▽国営企業及び国家予算の再構築や不良債権の処理、公債の安全化―という3つの戦略的ブレイクスルーを効果的に実現する。

④祖国の独立・主権・領土の保全
祖国の独立・主権・領土をしっかり守っていくという決意は固い。われわれは、平和な環境を守り、国家発展へとつなげる。また、外交関係を深め、国際統合を実現させるとともに、世界のなかでのベトナムの地位や信頼の向上に努める。

⑤人材の活用の徹底
われわれは、ベトナム人民のもてる人材や創造性のすべてを誘発し、高める努力をする。人民の物質的な生活の質を高め、社会や人民の安全を保証する。社会福祉を充実させて貧困を減らし、個人の尊厳を守り、国家として団結の強さを発揮していく。

⑥人間性の重視
社会生活のあらゆる面で人間性を尊重し、重要視する。倫理や人格、ライフスタイル、人々の知恵と能力に焦点を当てて人材を教育し、文化的で健康な環境を作りあげていく。