残業時間の上限、400時間に引き上げへ=国会が改正法案審議

 14日に閉幕する今国会で、労働者の年間残業時間の上限を現行の300時間から400時間に引き上げる労働法改正案が審議された。改正は所得を増やしたい労働者の希望を実現させるとともに、企業活動の発展を目指すもので、今年末の国会で改めて審議される見通しだ。オンラインメディアのVNエクスプレスが伝えた。

 ベトナム労働法は、企業従業員の年間残業時間を最大200時間までと規定しているが、繊維・衣料品、皮革、養殖水産物加工、通信、水・電力供給といった業種では300時間までを認めている。

 残業時間をさらに拡大する今回の法改正については、議員の間で賛否が分かれる。グエン・ティ・クエット・タム議員(ホーチミン市)は12日の審議で、「残業を勧めることは社会の発展に逆行する。むしろ労働時間を減らし、賃金は増えるような政策を実施すべきだ」と訴えた。グエン・ティ・フック議員(ビントゥアン省)も、原則200時間、特定業種で300時間の残業時間上限を維持すべきだと主張した。

 一方、チュオン・ティ・ビク・ハイン議員(ビンズオン省)は、残業時間上限の引き上げは衣料品、皮革、木材加工といった業種では従業員、企業双方にとって切実なニーズだと主張。同議員は、仮に法律で認められなくても企業は従業員に残業を要求し、要求に応じ残業手当を稼ぎたい従業員はいるとして、法律規定を実態に合わせるべきだとした。ただ、残業を行うことは従業員の家族生活や健康に影響を及ぼすとして、法律で上限を明記することは重要だとした。

 改正法案についてダオ・ゴック・ズン労働・傷病軍人・社会事業相は、残業上限の引き上げは切実なニーズだとした上で、政府は引き上げの対象を少数業種に限定する方針だと説明。「労働者の権利と利益は保証するが、同時に企業活動が持続的に発展できる条件を整備しなくてはならない」として、理解を求めた。(時事)