ベトナムのブオン・ディン・フエ副首相は、先日ハノイで開かれた物価管理運営委員会で、2019年上半期の消費者物価指数(CPI)上昇が、この3年間でもっとも低かったと発表した。同委員会によると、今年の通年インフレ率は最大で3.41%の予想で、当初目標の3.3~3.9%を下回る見通しとなったことから、フエ副首相は、関係各省庁に公共サービス料金の引き上げ検討を呼びかけた。

今年6月のCPIは同年前月比0.09%減。前年度の上半期と比べたインフレ率は2.64%の上昇にとどまり、国会が設定したインフレ率目標値の4%を大きく下回った。上半期の物価の変動は年初の予想通りだとした。

委員会の上半期の報告によると、今年1、2月は旧正月(テト)の準備のための商品購入が多く、価格が上昇したが、3月には物価が安定し、価格が引き下げられた。4、5月に再度、やや上昇する傾向に転じたものの、6月には再び下がったという。

専門家らは、世界的な穀物豊作でベトナム産の米の需要が低迷し、穀物価格が下落したことを低インフレの要因として指摘。3月から5月にかけて豚コレラの流行によって豚肉価格が急落したことも一因とした。 さらに、医療サービスの価格が2018年12月と比べて0.1%下落したことや、国内ガソリン価格の5月末の引下げなども影響した。

物価管理運営委員会の議長でもあるフエ副首相は、会議で「今年のインフレ率を3.3~3.9%にとどめるよう努力したい」と訴えた。その一方で、関連省庁や地方自治体に緊密に連携し、国が価格管理する公共サービス料金を「適正になるよう調整すべき」と呼びかけた。しかし、一斉の値上げ実施ではインフレにつながるため、「タイミングの考慮が必要」だとした。さらに、料金引き上げは人々の生活に直結するため、価格統計の透明性を確保し、メディアや市民に情報を公開するよう求めた。

一方、豚肉や建築資材、ガソリンなどの価格に関しては、市場安定のために関連省庁が適切な解決策をとるとともに、需給状況や価格を継続的に監視するよう求めた。

会議では、農村開発省のチャン・タイン・ナム副大臣が、豚コレラについても報告。それによると疫病は63の省と直轄都市のうち61の省・市にまん延しており、発生が確認されていないのはニントゥアン省とタイニン省の二つの省のみだった。この影響で殺処分となった豚は280万頭以上で、上半期の豚肉の流通は180万トン(前年同期比4.7%減)にとどまったという。