徹底した隔離政策などで死者をゼロに抑えるベトナム。政府は、感染の第2波に警戒しつつ、輸出や性産業などの経済活動の本格的な再開に向けて、支援を含めた環境整備を進めている。

ベトナムでは、3月31日に不要不急の外出や店舗営業の自粛を求める「社会隔離」を徹底する首相令を出して以来、死者をゼロに抑制、感染を封じ込めている。ウイルス防止に向けた国際的な取り組みを行うインドネシアの議会間協力委員会との電話会議では、「ベトナムの取り組みをモデルに」と称賛の声が上がった。

しかし、まだまだ油断はできないとし、フック首相は、「国民の健康第一」に感染者の隔離を徹底。第2波の感染拡大のリスク検証や感染パターン予測などを担当部局に指示した。

一方で、経済の回復に向けた対策も急務となっている。当面の課題として、商工省と関連当局はEU-ベトナム自由貿易協定を結ぶ国々への輸出促進に向けて、ベトナムが比較的強みを持つ日用品の十分な供給確保しなくてはならない。また、生産や輸出産業を維持するため、原材料の供給や輸送手段の検証も必要だ。企業側も、ネット販売などの、国内市場の開拓を急がなくてはならない。また、必需品の供給を十分に満たし、国内の観光業も段階的に活動を再開していく必要がある。

トラン・チュアン・アン商工相は、関係部局に対し、感染収束後の企業の安定的生産を支援し、輸出回復を加速させる計画作りを要請。また、政府のすべての省庁と関係部局は、感染で影響を受けた企業や国民を支援する金融対策の準備を進めており、その一つとして62兆ドン(約3160億円)規模の社会保障施策を打ち出している。