ベトナムで新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が再び広がりを見せるなか、グエン・スアン・フック首相は2日、政府会合を開いた。感染の封じ込めと経済成長の回復という二つの課題を同時解決という難題が話し合われ、関連当局に企業や労働者向けの支援策策定などが求められた。

フック首相は、「ベトナムの経済を安定させるために、公共投資を加速し、財政政策を実施し、民間や外国企業からの資本流入などの新たな投資を誘致する必要がある。実現に向けたさらなる努力が必要だ」と強調した。

各省庁には今年の第3四半期、通年、さらには2021年度と区切って、成長戦略のシナリオを見直し、情報を随時更新して発表するよう求めた。また、国家経済や企業、共同組合や家族経営の小規模事業所、さらには個々の労働者向けの具体的な支援策も、検討するよう要請した。

対外的には、「ベトナム欧州自由貿易協定(EVFTA)」や、アジア太平洋地域の通商協定「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」などの発効があり、ベトナムの貿易にとって追い風となり得ることから、「ベトナムは貿易を促進し、市場を解放しよう」と提案。商工省に対して、国内消費を刺激するための、具体的な施策展開を求めた。

ただし、ベトナムでは、一度は感染が制御された新型コロナが約3カ月ぶり再燃しており、会合では、市中感染の拡大を外国人の不法入国と関連付けて、国境警備の強化なども検討。消費刺激策なども、新型コロナの予防や感染の拡大抑制を念頭に置いたかたちで実施すべきだとの声も上がった。

フック首相はまた、施策の土台となる統計や数字について、さまざまな当局が違ったかたちで算出するために差異が生じ、正確な傾向を読み取れずにいる輸出入統計を例に挙げ、「ベトナム関税当局と統計総局、商工省や財務省などの省庁間の協力が適切でないためだ。統計の限界を取り除くための工夫や協力が必要だ」と語った。

さらにフック首相は、財務局とベトナム国家銀行(中央銀行)に対し、為替や国家予算関連の統計発表を、スピード重視で行う一方で、「ベトナムの法律にのっとったもので、正確なおかつ完全でなければならない」と統計の正確性を求めた。