農業の近代化、企業、協同組合、農家の連携がカギ=クオン農業農村開発相

農業分野は今年、デジタル技術に基づいた農業経営の再構築とイノベーションに力を入れるとともに、投資の誘致も強化する。グエン・スアン・クオン農業農村開発相は記者団に対し、2021年の戦略を語った。

―農業分野は重要な経済の柱でありますが、今後どのようにしてその役割を強化し、近代化し、国際統合の中で主導権を握っていくのでしょうか
「2021年、農業分野は引き続き2つの主要課題に取り組んでいく。1つは再構築である。近代的な農業を構築し、インダストリー4.0による先端技術を採用する。そして、生産から加工、販売に至るまでのすべての段階で、3つの主要農産品のバリューチェーンを開拓していく。
この3つの農産品には、◇年間輸出額が10億ドル(約1,070億円)以上の10品目、◇フンイエン省のリュウガンやバクザン省のライチなど輸出価値の高い品目、◇地域の特産品が含まれる」

「第2の課題は、デジタル技術に基づいた農業経営の改革であり、国際統合を視野に入れ、品質を重視したスマート農業を発展させることだ。有機農業や環境保全型農業、特産品生産は推進すべきである」

―国際統合の過程で、自由貿易協定(FTA)はベトナムの農業にどのような機会と課題を生み出しますか
「ベトナムは国際統合においてイニシアティブを取り、これまでに世界の主要経済圏と13のFTAを締結してきた。FTAによる関税の優遇は、市場拡大や投資・技術の誘致、協力関係の強化、人材育成の面で機会を創出するだろう」

「しかしながら一方で、私たちは貿易の技術的障壁や、さらには貿易保護主義にも対処しなければならない。また、物流や管理能力における先進国との格差も、農業分野が直面する課題の1つである」

―農業と農村開発への投資は、ベトナムの農産品の価値向上につながりました。さらなる投資促進に向けて、農業農村開発省は今年、どのような方針を取っていきますか
「わが省は、制度整備と行政改革を加速するために、政府に対し説明を行っていく。同時に地方との緊密な連携を維持し、企業投資に有利な条件を整える。また、農家が新しいスタイルの農業協同組合を設立できるよう支援も行う。企業、協同組合、農家の連携が、農村近代化のカギになるだろう」

―2020年はコメの輸出拡大が明るいニュースでしたが、今後のコメの戦略を教えてください
「昨年は、新型コロナウイルスや自然災害など、多くの困難があったにもかかわらず、コメは国内需要を満たし、輸出額は30億ドル(約3,200億円)を超えた」

「コメは生産・加工・販売において様々な革新がなされてきたが、今後、農家やコメのサプライチェーンに関わる人々がより高い利益を得るには、さらなる努力が必要だ。経済発展の前提条件として、どのような状況であっても国の食料安全保障は確保されなければならない」