グエン・スアン・フック首相は3月28日、オンラインで開催された全国会議の2日目のセッションで講演し、2021年から2030年にかけての「10年間の社会経済発展戦略」の3本柱となる重要要素を指摘した。第13回全国党大会の決議を広く伝えるために開催された会議で、2021~2025年に目指す発展の方向性と課題も示した。

フック首相は、第一の重要要素として「ベトナム人の精神的な勢いと決意」を挙げ、「国を発展させたいという人々の願望を刺激し、この時代におけるベトナムの文化と人々の価値、としてこの時代の強みを総動員して、実現を目指す必要がる」と強い口調で語りかけた。

2つ目の重要な柱は、国を発展させるための方法と手段とした。この具体例としてフック首相は、「科学、技術、革新、デジタル化などを下敷きにして、迅速に、持続可能な開発の実現を後押しするあらゆる資源」だとし、これらを総動員する考えを示した。

最後に、3本目の柱として、「われわれが目指し、達成に向けて突き進むべきゴールの設定」を挙げた。この目標があるおかげで、ベトナム共産党が設立100周年を迎える2030年ごろには、ベトナムは、近代的な産業をもち、1人当たりの平均年収7500ドルを実現した、世界銀行が定める「上位中所得国」の仲間入りを果たすことができると主張。さらに、国家設立100周年となる2045年には平均収入1万8000ドルの高所得を実現した先進国となると予測した。

特に、2021~2025年の期間の目標として、「平均で6.5~7%の国内総生産(GDP)成長率達成を目指す」と、フック首相は強調した。

2011年から2020年までの発展戦略を振り返りでは、過去5年間の成果と課題ついても触れ、フック首相は、「ベトナムがすべての分野において多くの重要で包括的な成果を上げた」と評価。さらにそれが、35年間にわたるドイモイ(刷新)政策が実現した巨大な、歴史的な結果の達成に大きく貢献したと述べた。

過去10年間の成果についても、党の指導のもと、単一の指導者の在職期間だけでなく、何世代にもわたり在職した歴代指導者らの成果だと強調した。

国際的な視点からは、予測不可能な世界や国内の状況のなかで、国家の連帯と協調が実現されたことを高く評価。フック首相は、「実質的な面でも、精神的充実の側面からも、ベトナム人の生活が大幅に改善された。政権に対する人々の信頼が強くなり、世界におけるベトナムの名声が高まった」とした。

前年度の新型コロナウイルスの世界的感染拡大の影響については、パンデミックがさまざまな困難を引き起こしたにもかかわらず、過去10年間の経済の平均成長率が5.95%を達成したことや、2020年の成長率も各国がマイナス成長となるなかでも2.91%を確保したことなど、いくつかの前向きな数字を引用した。

労働生産性についても、2016年から2020年にかけて、平均5.9%上昇し、過去5年間を平均しても4.3%の上昇だったことを披露した。

ベトナムの国内総生産(GDP)は現在3430億ドルで、世界第37位となっている。 ベトナムはまた、「最も急成長している世界10か国」のひとつでもあり、「世界16の新興経済国」にも名前を連ねている。一人当たりGDPの視点でも、ASEAN代4位に位置している。

同時に、首相は中長期的な方針として、「未解決の問題に取り組む必要性」を強調した。 「文化的、社会的、人間的発展の重要性が指摘され、教育訓練や科学技術、技術革新などがベトナムの発展の主要な原動力である」と話した。さらに、彼は人々の同調の重要性を強調し、「それがあらゆる目標を達成するための強さだ」と語りかけた。

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ベトナムでは、第14期国会(2016~2021年)の最終回である第11回会議が先月24日に開幕。4月8日の閉幕までに、国家主席や首相、国会議長など次期首脳陣を選出する予定となっている。ベトナム祖国戦線中央委員会は、グエン・スアン・フック首相を、国家主席機関の代表者(国家主席)に推薦している。