ベトナム新国家主席にグエン・スアン・フック前首相、新首相にファム・ミン・チン氏 第14期国会で国家指導者ら決定 

ベトナム第14期国会第11回会議は4月5日、グエン・スアン・フック(Nguyễn Xuân Phúc)前首相を、新たなベトナムの国家主席として選出した。新首相にはファム・ミン・チン(Phạm Minh Chính)共産党中央組織委員長が選出された。また、国会議長にはブオン・ディン・フエ(Vương Đình Huệ)ハノイ市共産党委員会書記が選ばれた。

いずれも任期は5年。今年1月に開催されたベトナム共産党大会では、グエン・フー・チョン書記長の続投が決定しており、これでベトナムの2021~2026年期の国家指導者らがすべて決定したことになる。

フック新国家主席は、この日、全国会議員の97.5%に相当する468人の賛成で、選出された。首相が国家主席に選出されるのは初めてとなる。

グエン・スアン・フック新国家主席は、1954年、ベトナム南中部のクアンナム省に生まれた。ベトナム共産党の10~13期まで4期連続して党中央委員会のメンバーで、第11期~13期の政治局員にも選出されている。

5日、国会で就任宣誓を行ったフック新国家主席は、祖国と国民、そしてベトナム社会主義共和国憲法への、絶対的な忠誠を誓ったのち、フック新国家主席は、「関連機関と連携し、人々の声に耳を傾けながら、任務遂行のために最大限の努力を行います」と約束。続けて行った演説では、「ベトナムは、輝かしい伝統のうえに、今後、新たな奇跡を起こし続けるだろう。国家としてさらに繁栄し、力強くなると信じている」と力強く述べた。

国の将来について、フック新国家主席は、「ベトナムは今後、チャンスと困難に、同時に直面することになるだろう」と予測。「だが、党の指導のもと、ベトナム人の気概と頭脳を生かし、国内の団結と世界各国の助けがあれば、ベトナムはあらゆる困難を乗り越え、13期国会が設定した目標を達成することができる」との期待を示した。

就任に当たり、フック新国家主席は、ベトナムの人々の平和を守り、国境周辺や諸島部の防衛にあたる兵士や公安職員に、尊敬の意を示した。また、「われわれはずっと、みなさんの友人であり、信頼に値するパートナー国であり続けます」と、世界各国の政府と国民へ感謝も述べた。

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新首相に選出されたファム・ミン・チン新首相は1958年12月10日生まれ、中部のタインホア省出身。首相投票は無記名で行われ、出席していた466人の国会議員うち462人の賛成で選出された。

11~13期まで連続してベトナム共産党の党中央委員会のメンバーで、第12期と13期は政治局員にも選出されている。公安畑を歩み、第14期には国会議員となったチン新首相は、ベトナム日本友好議員連盟会長も務めていた。

チン新首相は、「法律と人民が支配する、人民による、人民のための共産党主義国家を構築するため、新政府は努力を続ける」と宣誓で述べた。

新しい指導者は、「国の建設と発展を目指し、独立性と主権の維持、領土の統一と保全を守るために、政府が貫くべき重要な役割と地位を、十分認識している」と述べ、「人々が豊かになり、民主主義が貫かれる、強く公正で文明的な国家の建設という目標のために尽力する」とした。

特に、法律の順守や、行政と社会全体の規律を最優先にすると宣言。国家の発展のためにあらゆる資源を活用し、戦略的なインフラ整備を進め、国家レベルでのデジタル変革と経済の電子化を進めていく方針を明らかにした。辺境地域や国境地帯、諸島部などが中心となる少数民族の居住地域にも焦点を当て、「あらゆる人々の生活に配慮し、包括的な社会福祉システムの開発に尽力する」と述べた。

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ベトナムの新たな国会議長兼国家選挙評議会議長に選出されたハノイ市共産党委員会の前書記、ブオン・ディン・フエ氏も、国会で就任宣誓を行った=写真

フエ新国会議長は、宣誓したのち、「国会議長として選出してくれたことをみんなに感謝したい」と議員らに感謝を伝えた。

また、今年5月、国会や地方自治体の各レベルでの人民評議会議員を選出する2021-2026年期の総選挙が予定されていることから、国家選挙評議会議長の立場として「評議会メンバーらとともに、真摯な態度で、法律に規定される責務と権力の実行を果たす」とも述べた。