ベトナム、2045年の先進国入りも視野に 第14期国会の5年間で大きく成長 

さきごろ就任したグエン・スアン・フック国家主席が首相を務めた第14期国会(2016~2021年)の会期中、ベトナムは、新型コロナウイルスの世界的感染拡大など予想外の困難に見舞われつつも、大きな発展を遂げた。今世紀半ばにはベトナムが先進国の仲間入りを果たすとみられ、次期国会会期では、農家や労働者、企業経営者らあらゆる階層において繁栄するベトナムの将来像が提示される。

◇経済規模で世界第37位
ベトナムは2016~2021年の第14期国会会期中、かつての予想をはるかに超える困難に直面することとなった。その筆頭に挙げられるのが、世界各国に大打撃を与え、世界経済を大きく落ち込ませた新型コロナウイルスの世界的感染拡大だ。だが、国の運営や行政における過去の成果や経験から学び、ベトナム共産党や国会の決議を順守しながら、ベトナム政府は、中央から地方行政に至るまで一丸となって、当初設定されていた目標の達成を目指し、抜本的かつ効果的な手法で課題に取り組んだ。

政府が特に重視したのは、マクロ経済の安定の維持とインフレ抑制だ。さらに、財政を引き締め、国家の経済成長を促進させる環境を作り出すことに、一貫して取り組んだ。

その結果、ベトナムの外貨準備高は1000億ドル目前にまで成長。貿易黒字は5年連続で右肩上がりとなり、2015年に総額約3280億ドルだったものが2019年には5170億ドル、2020年には5450億ドルにまで成長し、前期国会会期の約1.7倍となった。

2020年のベトナムの国内総生産(GDP)は、前年比2.91%増となったが、新型コロナのまん延するなかでプラス成長を維持した、東南アジアでは唯一の国となった。2016~2020年の平均成長率5.99%は、2011~2015年の平均成長率5.91%を超えた。ベトナムはアジア地域において、さらには世界においても、有数の経済経発展を遂げた国となった。

◇先進国の仲間入りへ
統計からみると、第14期国会会期の初期ごろ、ベトナムは人口規模で世界第14位だったにもかかわらず、経済規模では世界第48位にとどまっていた。ところが、この5年間でベトナムは11位もランクを上げ、経済規模で世界第37位になった。今後のベトナム経済の成長見通しも明るいものとされ、2045年までに、ベトナムが高所得を実現し、先進国の仲間入りを果たす未来も見えてきた。

国家としての競争力をさらに高めるため、ベトナム政府はこれまで企業が課せられていた経営条件を63%も緩和し、諸手続きをワンストップで行えるよう、利便性の向上につとめた。さらに政府は、国営の金融機関や国有企業の再構築に焦点を当てる一方で、公共投資の支出改善にも努めてきた。

国際社会においても、この5年間のベトナムの活躍は目覚ましい。2020年には国連安全保障理事会(UNSC)の非常任理事国に選出。また、包括的及び先進的な環太平洋パートナーシップ協定(CPTPP)や欧州連合とベトナム間の自由貿易協定(EVFTA)など、期間中に5つの自由貿易協定に署名し、発効にこぎつけた。

◇国会の成果も

3月24日に始まったベトナム第14期国会の第11回会議は、4月8日に会期を終えた。会議期間中、国会の立法権、行政権、司法権の行使における5年間の成果を評価し、課題などが検討されたほか、最終日には、グエン・チー・キム・ガン国会議長が、ブオン・ディン・フエ新国会議長に花束を贈呈し、就任を祝った。

第14期国会の会期中には、72の法律が採択された。これ以外にも2件の条例と多数の決議が採択され、政府統治における改革と効果、効率性の礎となり、民主主義を促すとともに、人権や市民権を保護した。特に、今国会では質疑応答のやり方が変革され、形式的な討論から、より自由な議論へと切り替えられたが、これが国民の支持を得た。

また、山岳地帯など少数民族が多く暮らす地域の社会経済発展に大きな影響を与えうる主要な国家プロジェクトの投資がいくつも承認されたことも、今国会のハイライトだった。その一例が、ロンタイン国際空港建設プロジェクトで、第一段階として、南北高速道路の東部分3カ所の整備工事や、滑走路、ターミナルなど建設などにゴーサインが出された。

さらに国会の外交施策も、ベトナムの防衛や発展に向けて平和で安定した環境を維持し、国際舞台でのベトナムの国家的地位を高めることに貢献し、党と国の外交の成功の後ろ盾となった。