22歳以下の若い人材がさまざまな労働技術の高さを競う第10回技能五輪ASEAN大会が10月、ハノイで開催される。ベトナムでは運営の準備が進められるとともに、参加する技術者らの訓練にも力が入る。来年中のASEAN経済共同体(AEC)発足に向けて、今大会はベトナムの質の高い人的資源を諸外国にアピールする絶好の機会となるからだ。

労働・傷病兵・社会問題省のもとにある職業訓練局によると、第10回技能五輪ASEAN大会には、10カ国から293人が参加する予定。協議は25の技術分野で行われる。ベトナムからは51人が出場する予定。同大会組織委員会は、今年5月に第8回目となるベトナム国内の技能五輪を実施して、競技者の訓練などの準備を早めに行ってきた。

中央経済委員会経済局のファム・ティ・ホン・イェン准教授によると、ベトナムが準備に力を入れるのは、自国開催という理由のほか、「2015年中のAEC設立を視野に入れているため」だという。AECは高い競争力を持つ安定したASEAN経済圏を確立し、域内で国境を越えた投資や就労の自由化を目指しており、さまざまな熟練労働者が自由に国家間を流動する道が開ける。「高い職業意識や外国語能力を備えた人材が流動することは、加盟各国で刺激となり、人材の質の向上につながる」という。

一方、計画投資省発展政策院のグエン・ティ・タン・ガ氏は「技術の高い労働者たちの移動はベトナムの労働市場だけでなく、他の加盟国にとってもプレッシャーになる。各国間の収入格差により、よりよい給与や社会保障を与えてくれる国へと、労働力が流れることになるだろう」と分析する。すでに、シンガポール、マレーシア、タイなど急速に発展した労働市場へ、他のASEAN各国から技術者らが流出する動きが加速しており、ここ数年、ベトナムも頭脳や技術の流出を意識している。具体的には、人材の質の底上げにむけて努力し、労働条件や賃金に関するさまざまな法制度をつくるなどしている。ASEAN大会の開催は、ベトナム労働者がAECに強固な足がかりを作るための一つのステップとなる。