職業訓練校の拡充プロジェクト始動へ 人材育成の強化目指す

質の高い職業訓練校をベトナム国内に整備するプロジェクトが今年7月、グエン・タン・ズン首相に承認され、計画が少しずつ始動している。2020年までに段階的に、国内の職業訓練施設を新設・充実させるというもので、高い技術を身につけた労働者を育成することで、今後のベトナム経済の発展につなげたい考えだ。

労働・傷病兵・社会問題省のドゥオン・デュク・ラン職業訓練総局長によると、計画の最終目標は「2020年までに、高水準の職業訓練校を全国に約40校設置し、国内全域にも、国際的にもその存在を知られるようにする」ことだという。この過程において、ベトナムの職業訓練の抜本的かつ包括的な改革も図る。

具体的には、2014-16年の期間に、34の職業訓練プログラムをパイロット事業として展開。いくつかの特別な職業訓練校は、高水準の訓練を行うことを条件に、国の特別な支援を受ける。計画では、このような訓練校を2018年に全国で15カ所、2019年に30カ所に拡大を目指し、2020年に最終目標である訓練施設40カ所の設立を達成する見込みだ。

この職業訓練計画が求める教育水準はかなり高く、厳しいものとなる。訓練校は最小でも2000人規模、このうち30%が重要分野での訓練を受けるものとする。生徒は卒業までに、全員が各種の職業訓練とともに、コンピューター技術や英語も一定水準の教育をクリアすることが求められている。訓練校は卒業後6カ月以内に、卒業生の80~90%に、習得した技術に見合う就職先を見つけなければならない、といった条件もある。

この要求水準の高さに関しては、プロジェクトの実施に先立って行われた会議で、参加した関係者から、達成が難しいのではないかと懸念を示す声も上がったという。しかし、ラン局長は、高い要求基準が生徒や訓練校にとって刺激になることを挙げ、「必要に応じたトレーニングを提供することも、この職業訓練活動が最大の効率を達成するための前提条件だ。このため、訓練校は卒業生らの就労先を確保するために、市場の求人ニーズを調査し、さまざまな業界と連携してほしい」と強調した。

訓練校設立のハードルを緩和するために、プロジェクトでは、インフラ整備や訓練用具などへの投資を促進する仕掛けを用意する一方で、職業訓練の内容に応じて、講師や施設運営者らを対象とした税優遇などを設ける考えだ。加えて、これらの訓練校向けには、資産管理や自己資金調達の手法も確立されるという。

現在、クイニョン職業訓練校(ビンディン省)やホーチミン市職業訓練校、タム・ディエップ電気工学建築職業訓練校(ニンビン省)などを含む全国45カ所の施設が、優先的に投資を受けるとされている。ラン局長によると「今後も、プログラムへの参加を希望する職業訓練校があれば、設定された基準を達成できるかどうか検討したうえで、職業訓練総局に登録することができる」という。