ロンタイン国際空港を新たな拠点空港に

ベトナム南部の表玄関として建設計画が承認されたロンタイン空港について、ディン・ラ・タイン交通運輸相は国会で「(同空港は)航空運輸発展戦略上の重要な国際空港となるとともに、観光や産業、貿易、とりわけ航空産業に大きく貢献するだろう」と語った。

政府の構想によると、計画は3期に分けられ、第1期(2020~25年)では、年間2500万人を受け入れ可能な旅客ターミナルと120万㌧の貨物を収容できる貨物ターミナル、2本の平行する滑走路を整備。第2期(2030年まで)では、旅客ターミナルのキャパシティーを年間5000万人、貨物を150万㌧に拡大するとともに新規滑走路1本を追加。第3期(2030年以降)では旅客ターミナルのキャパシティーを年間1億人、貨物を500万㌧に拡大、さらに新規滑走路4本を整備する。

総額187億㌦(約1兆9190億円)の事業費は、国家予算や国債、政府開発援助(ODA)、民間資本などで賄う。投資企業が一定期間運営、その後国に引き渡すBOT方式が多くの関連施設の建設で導入されるとみられる。

タイン交通運輸相は「国が主要基盤整備、あるいは財政的な支援のみ行うという基本方針のもと、投資家はそれぞれ個別の事業と提携していくことになる」と述べた。

世界銀行やアジア開発銀行といった国際的金融機関、日本や米、仏、韓国といった海外の政府から集まるODAも巨額に上るとみられる。政府案では、交通運輸相と計画投資省が分担してODAの集約を図ることになりそうだ。

国会の経済委員会によると、投資計画の細部や債務負担による財政へのインパクトなど、プロジェクトにはまだ多くの異論が残っている。プロジェクトがもたらす利益も運用コストや観光需要などによって大きく左右されることになりそうだ。

もう一つの大きな懸念は、プロジェクトへの投資が国家予算によって賄われた場合、国家の負債額が急激に膨れ上がるということだ。

こうしたから、国会の経済委員会では、このプロジェクトが財政に与えるインパクトの包括的評価を作成するよう求めている。さらに政府は、プロジェクトの必要性をより明快に説明するとともに、合理性や効果などについてさらに熟考しなければならないと指摘。また、輸送分野における省(県)の投資規模や、海外を含めた民間企業の参入部分の決定など、さらに計画を詰めていく必要があるとしている。