ベトナム空港会社(ACV: Airports Corporation of Vietnam)の年初来9カ月の経営が好調だ。旅客数、貨物量、便数、収入のいずれも前年同時期を上回っている。ACVのスタッフや経営陣の努力の結果と言える。

年初来9カ月で空港を利用した旅客者は前年同時期比14・5%増の3800万人。すでに、年間計画の8割に達した。貨物などの物流も同11・4%増61万7460㌧(年間計画の76.3%)、航空機の便数も同13.4%増の27万8246便(同80.6%)に達している。

セキュリティー面においても、安全基準の整備に力を入れ、カムラン国際空港やドンタック空港などで大掛かりな演習を行い、安全運航に努めている。ノイバイ国際空港の第2ターミナル計画やタンソンニャット国際空港のターミナル拡大、ビン空港のターミナル建設などの重点プロジェクトも計画通り進んでおり、これらの供用が予定通りに始まれば、間近に迫った休暇シーズンには、利便性アップが期待できそうだ。

サービスの質の改善

近年、ACVは、インフラの刷新や利便性のアップ、ターミナルの混雑解消など、サービスの質的な向上に力を入れている。

旅客者数の急増によって、ベトナム国内のいくつかの空港(ノイバイ国際空港、タンソンニャット国際空港、カムラン国際空港、ビン空港)は、混雑が発生している。ターミナルのスタッフは、設計上のキャパシティーを超える膨大な旅客をさばかねばならず、これがさらに混雑を招く結果となっている。

ノイバイ国際空港の場合、第1ターミナルは年間600万人の旅客を想定し、2001年から供用が始まった。2013年12月にはキャパシティーを年間900万人までに引き上げたが、最終的にはこの年、設計当初のキャパシティーより42.5%も多い1300万人(国際線550万人、国内線750万人)の旅客を受け入れることになった。

ノイバイ国際空港の年初来9カ月の利用者は、前年同期比10%増の1100万人近くに上っている。空港周辺では、ニャチャン橋やニャチャン道など多くの国家プロジェクトが整備されており、それらがまた空港利用者の増加につながっている。また、安全な運航に向けた地元自治体との緊密な連携も行われている。

タンソンニャット国際空港では近年、インフラの向上や施設、人材への投資が行われ、多くの点でサービスが向上している。しかし、スペースの問題もあって、混雑解消が急務になっている。カムラン国際空港、ビン空港もまた、設計当時のキャパシティーを超える利用者増という問題を抱えている。ビン空港は今年、100万人目の利用者を迎えた。

ACVは、フーコック国際空港の建設(2012年12月)や、トゥイホア空港の民間航空機エリア整備(2012年12月)など、さまざまなプロジェクトを進めてきた。

今年末までに、年間1000万人の旅客キャパシティーのあるノイバイ国際空港の第2ターミナル、タンソンニャット国際空港の国内線ターミナル、年間300万人のキャパシティーとなるビン空港の新ターミナルの工事を終え、供用を開始する。

インフラ整備とともに、ACVは、サービス向上に不可欠なプロフェッショナルな人材の育成やトレーニングにも力を入れている。同時に、さまざまなキャンペーンも実施、スタッフの意識改革やモーチベーションの向上を図っている。こうした取り組みは、安全運航のためにこれからも続けられ、将来的によりよいサービスへとつながっていくだろう。