2030年にはワクチン製造も ベトナムの製薬成長戦略

ベトナム政府は今、製薬分野の国際基準適合化を進めている。高品質な薬の適切な供給や適正使用、公衆衛生改善が目的だが、2030年までには国内需要をすべて国産化することや、専門性の高い薬やワクチンの製造まで行うことを目指すなど、野心的な戦略を描いている。

保健省のファム・ル・チュアン副大臣は、2020─2030を計画期間とする「ベトナム製薬分野発展戦略会議」の演説で、「ベトナムの製薬分野は、多くの目標を達成してきた」と語った。

2013年の統計によると、国内で製造された薬は13億㌦(約1560億円)に上った。年平均の成長率は15%で、薬に使う平均出費は国民1人当たり31.18㌦(約3700円)に増えている。また、政府の医療費管理による薬価の安定化や行政手順の簡略化といった法令整備によって、透明性ある公正なビジネス環境ができつつある。

保険省によると、ベトナムには医薬品等のGMP(Good Manufacturing Practice:製造品質管理基準)に適合した133の製薬ラインがあり、流通を含めたガイドライン、GSP(Good Storage Practices)に適合した177の企業によって、国内全土をカバーする供給ネットワークが構築されている。

長期的な計画を

ベトナム医薬品管理局(DAV)のトルオン・クオク・クオン局長は、「確かにベトナムの製薬分野は目標を達成できた面も多々あるが、まだまだ、国民の健康改善のために解決しなくてはならない多くの問題がある」とし、「今後、より大きく発展していくための緻密な戦略を立てていくことが需要だ」と訴える。

「ベトナム製薬分野発展戦略会議」の出席者も、薬の十分な供給体制や品質向上、適正価格の維持、製造現場の近代化、専門化など、2030年に向けた課題について言及した。

クオン局長は、「保健省は、近く製薬の法令に関する諮問委員会を立ち上げる。医薬品管理局も関連法規の枠組み作りと、国内外の投資を促すような政策の青写真を描くことになる」と話す。

政府の戦略では、2020年までに、ベトナム国内で販売される薬の80%の国産化。さらに、2030年までには、国内の薬の需要を国内産で完全に満たすとともに、専門性の高い特殊な治療薬やワクチン製造においても、主導的な立場を取っていくことを目指す。