ハノイ市近郊の農業が活性化、科学技術の応用が奏功

ハノイ市郊外の農村地域で近年、科学技術の応用により農作物の生産性が大きく向上している。栽培される花や野菜の品質が改良されて農家の収入が増加。栽培・流通施設の建設などへの再投資も見られるようになった。

ハノイ市郊外、メ・リン地区共同体は、花の生産地として一躍有名になった成功例だ。花卉栽培分野のさまざまな新技術を導入した結果、品質の良い花を咲かすことが可能になったほか、栽培の効率も良くなった。現在、同地区の年間生産高は1ヘクタールあたり平均2億ドンにのぼる。

それだけにとどまらず、同地区ではインターネット上での商取引を導入。出荷時の花の冷蔵保存施設建設などの再投資も行った。これで、さらに花の流通が加速し、出荷量も増えた。栽培された花は、近隣各省だけでなく、東南アジア各国にも輸出され、国際的知名度を上げている。

メ・リン共同体のタ・クワン・フン党事務局長は、「花の栽培の工夫と発展が地域の農家に収入をもたらした。ここの富裕層は全住民の約65%に増え、就職率も95%にのぼる」と胸を張る。

一方、ダン・フォン地区では、安心安全な野菜や高級な花、オレンジやグレープフルーツなどの果樹の栽培に新技術を応用した。おかげで、周辺では工業地帯、住宅街への転換が進むなか、同地区の農業生産は上昇を続け、1年間で1ヘクタールあたり2億400万ドンの農業生産量を誇る。

同じダン・フォン地区のハ・モー共同体で、グエン・ヴァン・スアンさんは2010年からユリを栽培している。畑は広さ約5ヘクタールで、毎日約1000束のユリを出荷。年間収入は5億-6億ドン。この金額は、他の作物栽培の約5倍だという。

タン・オアイ地区では、オレンジの生産量が1ヘクタールあたり年間1億-6億ドンにのぼる。また、ホアイ・ズックやクウォック・オアイなど、各地区でのリューガン(竜眼)の栽培(1ヘクタールあたり約6億-10億ドン)、ドン・アィン、ジア・ラム等の各地区での安全な野菜づくり(同2億5000万-4億ドン)なども、広く知られるようになったハノイの郊外型農村地区だ。ほかにも、ハノイ各地で品種改良された高品質のコメが作られ、地元農家の収入アップに貢献している。

このように、進歩したさまざまな技術の応用によってハノイ市郊外の農業は活性化している。同市農業農村開発局のチュー・フー・ミイ局長は、「付加価値を付けた農業生産方式が高収入につながり、農家を貧困から救っている」と、農業生産分野におけるさまざまな高度技術の応用を高く評価している。