ゲアン省の病院 造血幹細胞移植治療の臨床応用開始 患者2人が退院

ゲアン省のゲアン腫瘍病院はこのほど、造血幹細胞移植治療の臨床応用を始めたと発表した。昨年末までに2例の患者への治療が成功しており、患者らは安定した健康状態で退院したという。

1例目となったのは52歳の女性患者で、昨年12月12日にセンターを退院した。2例目の乳がん患者も、今年1月、安定した健康状態で退院を果たした。

元・軍108病院の腫瘍学科長で、ゲアン腫瘍病院の幹細胞研究チームリーダー、グエン・チュン・チン博士によると、がんや一部の良性腫瘍の治療を対象にした造血幹細胞移植療法は、ベトナムの保健分野で最優先事項として取り組まれ、発展してきたという。

同病院のグエン・クアン・チュン院長は、「われわれの病院でも、この治療法を試したいと登録する全国の患者数は増えているが、治療インフラや人材、医療機器が不足するという課題に直面している」と話す。

チュン院長はまた、公的医療保険がこの治療に適していないことを指摘。「造血幹細胞を使った治療の費用は総額で3億ベトナムドンにもなるが、国民健康保険はその約3分の1しか適用されない」と付け加えた。

ベトナムでは幹細胞の治療応用の研究は、1990年代から行われてきた。同技術は現在はおもに、血液疾患や一部のがん、心臓疾患、皮膚疾患、脳麻痺、外科手術などの分野で応用されている。

ベトナム初の造血幹細胞移植治療は1995年、26歳の血液がん患者に行われて以来、フエ中央病院、国立小児病院、軍108病院、8月19日病院、血液・輸血病院と115病院が治療を行った実績をもつ。主に血液疾患の患者を対象に延べ数百件の治療が行われてきたが、ゲアン病院も新たに治療施設に加わった。