ベトナム産オレンジ、人気上昇

ベトナムの市場やスーパーマーケットでは、多種多様な輸入オレンジが売られているため、国産オレンジは、売り場でひっそりと売られているのが常だった。その国産オレンジが今、国内外で人気を呼び、需要に生産が追い付かない状態となっている。ハジャン省(県)のバククアンやホアビン省のカオフォン、フンイェン省のバンジャンなど、北部のオレンジ産地では近年、需要量が生産量を上回っている。

カオフォンの耕作面積は昨年、1200㌶に達し、推計約1万6500㌧の収穫があった。Viet Gap(ベトナム安全農産物生産基準)に準じた栽培技術の導入もあって、オレンジは豊作で品質もよく、栽培農家には1㌶あたり平均6億ドン(約240万円)の収入と、4億ドン(約160万円)の利益をもたらしている。

カオフォンのオレンジはみずみずしく、ほのかに甘いのが特徴だ。近年は、特に当たり年で、輸出業者がこぞって仕入れのために当地を訪れた。

さまざまな調査によると、ホアビンのオレンジやハジアンの厚皮オレンジは消費者の人気が高く、1㌔あたり2~3万ドン(80~120円程度)で取り引きされている。

2014年、ビン ハオ村の厚皮オレンジの耕地面積は、バククアン地区の耕地面積の80%にあたる472.25㌶となり、1㌶あたりの収穫量は平均16㌧に上った。当地のオレンジは、形こそ整っていないが、他のオレンジにない独特の甘みがある。スーパーマーケットや青果店の売り場では、カオ フォン、フン イェン、ハジアンのオレンジは、輸入物よりも人気が高い。

オレンジの高付加価値化
最新の農業技術の導入によって、現在、国内外の市場では高い品質基準を満たすベトナム産の果物が広く流通している。

農業・農村開発省は「今後、米国や日本、オーストラリア、ニュージーランド、台湾などより品質基準の高い国々への輸出の道筋をつけていくには、より大規模化するとともに、高度な日本の保存技術やVietGapの導入などによって、より長期にわたる品質の安全性を維持できるようにしなければいけない」としている。

多くのオレンジ栽培地では、オレンジの品種拡大や肥料購入、新たな栽培モデル構築のために公的な金融措置も導入されている。

これまで、ハ ジャンとカオ フォンのオレンジは、地域特産品の認定を受け、栽培農家は保護されていたが、これが逆に、国際的な競争力を養う上での障害になっているとの指摘もある。こうした制度の検証も含め、オレンジのブランド戦略は今、大きな転換点にさしかかっている。

オレンジをはじめとするベトナムのかんきつ類は、特産品認定によって、消費者の信頼を得てきた。このことは地域の栽培農家にとって「誇り」であると同時に、伝統的作物の保存伝承とともに、その作物をより多くの人に知ってもらえるよう努力することに対しても重い「責任」を有することも意味している。