日越 高齢者の健康管理分野などで協力強化へ

日本とベトナムの間で、健康管理や看護、高齢者介護分野での協力強化の動きが加速している。これらの分野の課題などを話し合う会議がこのほどハノイで開かれ、情報交換が行われた。

日本側の参加者は、在ベトナム日本大使館関係者のほか国際協力機構(JICA)、岡山大学病院の関係者ら。ベトナム側からは看護分野の専門家らが参加した。

会議で、保健省のグエン・ティ・スイェン副大臣は、「この会議はベトナムが、高齢者向けの介護や健康管理のための施設などを設置・運営してきた日本の経験から学ぶよい機会となる」と話した。

ベトナムは現在のところまだ、社会を支える若い労働人口が多い〝黄金の人口比率〟の恩恵を受けているが、一方で、高齢化は急速に進んでいる。今後数年間で高齢者の人口に占める割合は10.5%まで増えるとみられており、ベトナムは「世界で最も急速に高齢化している国家ベスト10」に入っているという。

会議では、ベトナムで最近、高齢者が罹(り)患する主な疾患が伝染病から非伝染病へと変化していることが報告された。慢性病やがん、ストレス、うつ病などが増えているのが現状だという。

このような病気になった場合、伝染性疾患に比べて治療費が高くなる傾向にあり、高齢者1人の平均治療費は子ども1人の7-8倍になる。また、高齢化するにつれて、肢体が不自由になるリスクも高まり、介護が必要となるほか、多くの時間を寝た状態で過ごすことを強いられることも、挙げられた。

ベトナム国立老人医療センターの行った調査によると、ベトナムの高齢者の約23.4%はさまざまな日常活動に不便や困難を感じており、このうち90.67%は他人の手助けや介護を必要としているという。また、高齢者は平均して同時に3種類の慢性病に苦しんでおり、すでに入院している高齢者においてはそれがさらに6種類に増えた。特に80歳以上では、身体的に虚弱、アルツハイマー病、栄養失調、うつ病などが頻出していることなども紹介された。