エスニック色あふれる “お祭り” ラオ・カイ名物のバク・ハ市場

毎週日曜朝に開かれるラオ・カイ省(県)のバク・ハ市場は、地域の少数民族による一大マーケットだ。馬や牛をはじめとする家畜から衣料品、アクセサリー、台所用具、農機具まで、ありとあらゆる生活用品が並び、終日大勢の人たちでにぎわう。

夜明け前、笑い声や話し声のざわめきとともに、市場は幕を開ける。日が昇り始めると、あたりは、色とりどりの鮮やかな民族衣装をまとったモン族(=ミャオ族、山岳部の民族)の男女であふれかえる。市場は単に、ものを売り買いする場所ではない。若い男女の大切な出会いの場にもなっており、いわば、地域のお祭り。男も女も、それぞれとっておきの衣装で着飾って市場に繰り出す。

 

旧暦の新年最初の数日間で、最も人気のある商品は台所用具と農機具だ。ナ・ホイから来たバン・バン・ロさんは 鋤(すき)を買うために市場にやってきたんだ。「この鋤は15㌦(約1800円)。高いけれど、気に入っているよ。新年の豊作を祈って、新しい鋤がほしかったんだ」。

市場の名物の一つが競馬。鞍(くら)や馬の頭にかける勒(ろく)、蹄鉄(ようてつ)も人気商品だ。ナ・ホイから来たト・クイさんは「ぼくたちの村では、男も女もみんな鞍作りがとても上手でね。すばらしい鞍を作るんだ」と話し、自身で作った4つの鞍を市場に並べていた。「鞍は1つ7ドル。一週間で4つ作ったんだ。きょう中に全部売れるといいんだけどね」。

 

織物や食品、馬、水牛、家畜、鳥、ワインなど、あつかう商品によって、市場はいくつかに分かれている。売り場には、それぞれ固有の雰囲気やにおい、音があり、一つ一つのぞいて回るのも楽しい。馬や水牛、牛をあつかう市は、最もにぎわう場所の一つだ。

一方、華やかな手織りの金襴は、市場にやってくる人たちの垂涎の的だ。色とりどりの衣装は、銀や真鍮のアクセサリーとともにディスプレイされている。

 

カナダからやってきた観光客のジェニーさんは「初めて市場に来ましたが、並んでいる商品は初めて目にするものばかり。私たち観光客にとっては、どの商品もとても興味深いわ。何より、すべてハンドメイドというところがすばらしいわね」。

ラオ・カイ省の地元の人は、買い物をするためだけに市場にやってくるのではない。彼らにとって、市場は、トウモロコシから作られた酒や、メンメンと呼ばれるトウモロコシ料理、スパイスをきかせた馬の内臓料理といった名物料理を楽しむ場でもある。

市場は、よき友との出会いの場でもある。魅力的で伝統あるバク・ハ市場は、訪れる価値のある魅力的な場所だ。