「進化」するベトナムのコーヒー 先端技術が農家を後押し

ベトナムは今や世界第2位のコーヒー生産国となった。とりわけロブスタ種の生産においては世界1位で、コーヒー大国として、確固とした地位を築いている。その成長を支えるのが中部高地農林業科学学会(CASI)だ。先端技術と最新の情報を普及させることで、コーヒー産業や栽培農家に大きく貢献している。

CASI代表のレ・ゴック・バウ博士は、「南ベトナムが解放された1975年当時、中部高地地方のコーヒー栽培面積は、はわずか1万2000㌶しかなく、1㌶あたりの収穫量も数百㌔㌘にしか満たない状態でした」と話す。

「それが今や、ベトナム全体の90%を占める63万5000㌶の栽培面積を誇り、1㌶あたりの豆の収穫量も世界平均の2.5~3倍の2.3~2.5㌧、品種別の収穫量もそれぞれ1500万トン以上に上っています」(バウ博士)

2014年、ベトナムは1700万㌧、390億㌦(4兆6800億円)相当のコーヒー豆を輸出。コーヒー豆はコメにつぐ輸出産品となっている。

「過去10年において、CASIは、耕作技術や種木の生産、品種改良、栽培促進技術に注力してきました。2000年からの10年間は、交雑育種によってTR4~TR13までの9品種のロブスタ種と、TN1とTN2の2種のアラビカ種の開発に成功。これらのすべてが農業農村開発省によって認可されました」(バウ博士)

ロブスタ種の新種は、従来種よりも30%生産性が高く、1㌶あたり約4.5~7.3㌧のコーヒー豆が収穫できる。豆の粒そのものも大きく100粒あたり17~23㌘重い。そして、最も重要な点が、生命力が強く、葉さび病などの病気にも強いところだ。

「これらの新しい品種は、地方の農家にも供給されており、従来種からの移行が進んでいます」とバウ博士はつけ加える。

CASIは、効果的な水やりの方法や肥料、収穫後の加工技術についても研究、開発を進めている。さらに研究を進めることによって、数年後には、より収穫率の高い、高品質の新たな品種を生み出し、ベトナムのコーヒー産業の発展により大きく貢献することになるだろう。