交通・運輸省、日本にODAを返還へ ハノイ都市鉄道建設汚職で

政府開発援助(ODA)によるハノイ都市鉄道の建設をめぐる日本企業の汚職事件に関連して、ベトナム交通・運輸省のグエン・ホン・チュオン副大臣はこのほど、ベトナムが、設計コンサルティング料として受けたODAを日本政府に返還する意思を表明した。

写真㊤=汚職事件の余波で工事が一時停止したままのハノイ都市鉄道の建設現場

汚職のあったハノイ都市鉄道(イエンビエン-ゴックホイ都市鉄道)は、事件の影響で建設が一時停止となっている。このため、国際規定にのっとり、日本にODAを返還することになったという。

4月1日にJICAが行った定例会見で、山本賢一・JICAベトナム事務所次長は、日本で行われていた裁判において、不正競争防止法違反(外国の公務員に対する贈賄)の罪に問われた鉄道コンサルタント会社「日本交通技術」(JTC)が、贈賄を認めたことを明らかにした。この裁判では、法人としての同社と、同社の元社長ら3人が今年2月、日本で有罪判決を受けている。

JTCとベトナム鉄道管理部は、JICAの入札規定を遵守していなかった。そのため、JICAは「日本のODAの一般的な条件」に従い、ベトナムにコンサルティング料として供出した金額の払い戻しを促した。

チュオン副大臣によると、日本のODAの適用は当初、イエンビエン-ゴックホイ線の設計から建設入札までが対象となる予定だったという。副大臣は「プロジェクトの進展が一時停止している場合、資金提供が援助機関にODAを返還するのは、当たり前のことであり、ベトナムは国際基準に従う考えだ。いずれ、事業継続となったときには、日本から再び資金貸与があるだろう」と述べた。

交通・運輸省は現在、鉄道管理部とベトナム国鉄に、不正のあった契約の締結までのいきさつと、これまでのプロジェクトの実施行程を精査させているという。日本側に返還する正確な金額についても副大臣は「現在、鉄道管理部が再調査を行っている」とした。

JTC事件は、日本では有罪判決が出ているが、ベトナムではまだ公安機関が処理しているため、その結果を待っているという。

山本次長は、今回、ベトナムが日本側にODAを返還する必要があるとの考えを示した。

今後、プロジェクトが継続されるおりには、実施費用は再び日本から援助される方針だという。