ベトナムで、高速道路の建設プロジェクトが加速している。交通運輸省によると、2015年1-3月に道路や交通インフラ整備のために追加された予算だけでも同省の年間予算の約半額にあたる16兆ドンに及び、政府が目指す「2500キロメートルの高速道路網」の実現に近づいている。

写真㊤=昨年9月に運用が始まったノイバイ-ラオカイ高速道路

国の交通網整備のためにこれまでに調達された資金は総額約170兆ドン(約9億4300万円)に達する。なかでも全国各地をつなぐ高速道路の建設プロジェクトは、政府が2020年までに全国2500キロメートルの整備を目指しており、特に力を入れている。計画段階のものから投資が開始しているものまで含め、これまでに11件で100兆ドンもの資金が調達された。

これらのプロジェクトへの企業の関心は高い。投資を希望する企業が40社ほども、登録の承認を待っている状態だという。

なぜ企業は、高速道路の整備プロジェクトに注目したのだろう。理由の一つとして、この分野での投資効果が大きいことが挙げられる。また、プロジェクトが参加企業にとって多くの仕事を生む好機であるのも大きな理由だ。さらに、投資企業が公開入札を行い、投資した金額より高い価格で他社にプロジェクトを譲渡すること考えられる。

交通運送省は企業誘致のため、プロジェクトの進展情報や道路などの建設展開計画などを詳細に公開している。予算は限られているが、そのなかで得られた結果は社会的にもたいへん高く評価されており、これも交通インフラの整備のための出資調達が効果的であることを示している。

ディン・ラ・タン交通運輸相は、高速道路システムの建設をはじめとする交通インフラの発展のためには、「政府からの予算措置や国債発行などを待たずに、様々な方法や活動を通して社会的財源を確保しなければならない」と強調している。また、「企業や個人が可能な範囲で実施し、国家は民間ではできない部分を請け負う」とする官民一体での計画実施の方針を示した。

政府と民間がともに参入し、協力することで、国が2020年までの完成を目指している「全国2500Kmを網羅する高速道路網の建設」という目標に到達するまでの道のりも、大いに短縮されそうだ。