タクシー運賃値上げ? ガソリン急騰の影響で

ベトナムの複数のタクシー会社が運賃値上げを計画している。5月5日にガソリン価格が11%も急騰したことが理由だ。

ハノイ市タクシー協会のド・クォ・ビン会長は、「値上げについての要望が、多くの加盟社から寄せられている」と打ち明ける。

ベトナムの国営石油小売会社、ペトロリメックスは今年、2回の急激な値上げを実施した。最も普及している92-RON(RONはリサーチ・オクタン価)は1リットル当たり1万9230ドン(0.96㌦)に上昇。95- RONは10.9%の値上げとなり、過去4年間で最も高くなった。価格は、世界的な原油価格が下落傾向に転じた後も続いている。

5月5日の値上げを受けて、ビン会長は「ここまでガソリンが急騰すれば、タクシー料金も値上げせざるをえない」と値上げやむなしとの見方を示唆。「加盟社の要望水準は、1㌔当たり500~1000ドン(約28~55円)の値上げで、問題はタイミングだ」と話す。

一方、ホーチミン市タクシー協会のタ・ロン・ハィ会長も、明言は避けたものの、ガソリン価格の上昇が運賃アップの圧力となっていることを認める。「ホーチミン市のタクシー会社は、原油価格が下がった際、3回も運賃値下げをしている。それを考慮すると、各社が値上げについて、考えるのもやむをえない」

しかし、実情は少々異なる。多くのタクシー会社が、値下げをしたのは、昨年11月の1回こっきり。それは原油価格が9回も下落した後のことだった。

ハノイ貿易局のトラン・フォン・ラン副局長は、「ガソリン価格は輸送費に影響を与えるとみられるが、一般的な消費者物価への影響はないだろう」と話す。需要が低迷する中だけに、多くの企業は値上げにについて、より慎重な検討を重ねなければならないだろう。