タンソンニャット空港でMERS対策 万全の感染予防体制を準備

中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染が、近隣の韓国で拡大していることを受けて、ベトナム・ホーチミン市の各関連機関は、国内での感染を水際で防ぐために空港や国境、国際港などで入国者に対する感染予防を始めた。

写真㊤=体温測定機のチェックなどMERS対策の準備をする担当者 (ホーチミン、タンソンニャット空港)
ホーチミン市厚生国際検疫センターによると、韓国からタンソンニャット国際空港への定期便は現在1日7便で、毎日約1000~1200人が韓国からベトナムに入国しているという。

同センターのグエン・フィ・ハン副センター長は、「現時点では、韓国からの入国者に対しても、厚生申告書の提出を義務付けるなどの指示は厚生省からは出ていない。しかし、必要となればMERS対策がすぐにも行えるよう、準備を進めている」と話した。

すでに、韓国からの入国者用に厚生申告書を約5万枚印刷。体温測定機の設置や要員の配備、国際基準に適合する殺菌消毒剤を飛行機に備える、などの対策を進めている。また、エボラ出血熱の発生時と同様、今後は必要に応じてMERSについても検査を行う方針で、センターと同空港が協力して対応する。

また、伝染拡大を防ぐため、タンソンニャット国際空港では、MERSの発生諸国からの入国者専用の通路を用意。すでに韓国からの入国者は、他の乗客と接することがないよう、この専用通路を利用しているという。

ホーチミン市厚生国際検疫センターでは、タンソンニャット空港関税当局、国境公安局、航空局、タンソンニャット国際空港管理機構などと協力するほか、ホーチミン熱帯病院などとも連携して感染予防を実施する。過去に発生した危険な感染症の対策時と同様に、MERSの場合も体温測定で熱がある乗客が発見された場合、検疫部門が空港内で隔離し、健康状態などを細かくチェックすることにしている。

韓国では5月19日に初めてMERSの感染者2人を確認。2週間後の6月2日までの間に国内で患者が25人に拡大、そのうち2人が死亡したという。5月29日には中国でも初めて感染者を確認したが、患者は韓国人で、韓国国内で感染したのちに中国に渡り、発病したとみられる。

MERSウイルスは、2012年にサウジアラビアで初めて確認された。コロナウイルスの感染は現在26カ国に拡大しており、これまでに1154人が感染し、約38%にあたる434人が死亡しているという。