ビンメック病院、子ども300人に無料健康診断 環境汚染の懸念で

バクニン省マン・サ村でこのほど、無料健康診断が行われ、村の児童約300人が受診した。金属と煙による環境汚染や健康被害への心配が高まっていることから実施された。

ハノイの北東約60キロにあるバクニン省マン・サ村は、多くの世帯がスクラップや金属の再生加工業で生計を立てている職業村の一つで、約600世帯が暮らす。しかし、経済発展にともない環境汚染が深刻化したことから、同村の住民は金属による健康被害、特に子どもが鉛汚染などの影響を受けることを心配していた。このため、地域開発企業のビングループが運営する「ビンメック(Vinmec)国際病院」(ハノイ市)が、子どもたちの無料健康診断を行なった。

バクニン省のグエン・フィ・クァット副書記は、「マン・サ村の経済活動を維持するのは大切だが、村の人々は環境を守る意識を高め、自分たちの健康とコミュニティの自然環境も大事にしてほしい」と住民に呼びかけた。ビンメック病院の健康診断活動については「村の人たちに環境を守る意識を高めさせ、健康被害も早期発見できる」と、意義を語った。

多くの子どもに呼吸器感染症や栄養不足
健康診断を行った同病院のズォン・バ・チュック准教授によると、同村の子どもたちの約15~25%に呼吸器感染症や栄養失調の症状があったほか、肺炎や気管支炎で入院した子どもも少なくないという。また、他地域の同年齢の幼児・児童と比べて、体長や体重が不足する傾向もみられた。


他地域の同年齢児に比べて身長や体重が「低い・軽い」子どもも多い

「ニュンさん(26歳)」の家族はその一例だ。両親は健康だが、3歳の娘は体重が11キログラム(同年齢の標準体重は14キログラム)、二女は6カ月で気管支炎にかかった。ニュンさんは、この機会のおかげで、健康についての基本的な知識が足りなかったと意識できたという。

マン・サ村のグエン・バン・ホン村長は、「このプログラムは村の人々にとって非常に有意義だ。大変助かっている」と話した。


医師と話すバクニン省のクァット副書記(左)

この活動は、ビンメック国際総合病院が2015年12月まで展開を予定する地域コミュニティ向け慈善事業の一つで、「期待の橋」と名付けられている。各地域で健康知識の普及やガンの予防意識を高める活動が展開されているが、マン・サ村では地元の要望に応じて児童対象に行われた。

同事業でビンメック病医は小児がん、女性の乳がん、男性の肺がんに焦点を当てて、「ガンは誰でも襲う」というスローガンで啓発活動を展開している。また、ビンメック病院が属する大手土地開発会社、ビングループでは、慈善基金「ティエン・タン・フン」(Thien Tan Fun=優しい心基金)を設けるなどして病状が重い患者などの支援を行っている。