お茶の輸出価格低迷 改善迫られる業界

お茶の輸出価格が低迷するなか、ベトナムの製茶業界では、品質改善や生産効率の向上が迫られている。ベトナム投資情報センター(VITIC)のリポートによると、ベトナムは世界5位の輸出国。しかし、輸出価格をみると、国際的な市場価格の60~70%にとどまっている。

写真㊤=タイグエン省内にある貿易会社、タンクオンホアビングループの工場で働く従業員ら。品質改善や生産性向上に向けた取り組みが進められている(Photo: VNA)

今年1-7月のベトナムのお茶の価格は、6.6%ダウンし1㌧当たり1160㌦(約11万4000円)に落ち込んだ。輸出量自体は、約5%増の69000㌧近くに達しているにもかかわらず、輸出額は昨年同期比で2%のダウンとなっている。

ベトナムのお茶の最大の輸入国で、全体の33.7%を占めるパキスタンを例にとると、輸出価格の9.8%ダウンによって、輸出額が11.1%減となった。

VITICの専門家らは、こうした価格低迷はお茶の品質に由来しており、製茶業界は目下、国際市場に向けた品質向上を迫られていると指摘する。具体的な価格低迷の理由としては、農薬使用規制の不備や時代遅れの農業技術、生産と加工、流通の連携不足など、多くの要因があるという。

業界の構造にも問題がある。加工業者は独自の農場を持たないため、さまざまな生産現場からお茶をかき集めてこなくてはならない。その中には、出所がよくわからないものも含まれており、それが品質のばらつきの原因となっている。さらに、生産効率の悪さは、コスト高の原因にもつながっている。ベトナム茶協会の匿名の関係者は、品質維持のためには、農薬と殺虫剤の使用をチェックする組織を設けるべきだ、と話す。

カオ・ドゥ・ファ前農業農村開発相は、「お茶は最も重要なベトナムの輸出品の一つなので、お茶の生産の発展、品質改善と特に衛生問題に注意を払うべきだ」と語った。商工省は、企業とともに、お茶の生産や加工に関する科学的、技術的な取り組みを奨励していかなければならないとしている。

ベトナムは長年、世界のお茶産業の生産拠点として知られてきた。国内には14万㌶(2015年時点)の茶畑があり、年間18~19万㌧が生産され、うち70~80%が輸出されている。

主に輸出されているのは、紅茶や緑茶、ハス茶、ウーロン茶、ジャスミン茶で、大半は台湾、中国、米国、パキスタン、インドネシア、マレーシアなどに輸出されている。