工場などから出る廃棄物を燃料に活用するベトナム初の発電所システムが9月中旬、ハノイ市郊外のソク・ソン地区で試験稼働を始めた。同発電所は1日75トンの工業性廃棄物を処理して1930キロワットの発電が可能。12月以降に本格稼働する予定という。

このプロジェクトは、ハノイ都市環境株式会社と日本の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が協力して実現させたもので、日本から最先端の技術と機器を導入した。総投資額は6452億ドン。このうち1730億ドンは、ハノイ市の予算からねん出された。

発電燃料とされるのは、工場から排出される固形廃棄物やプラスチック類など。システムでは排気や排水をフィルターを通して浄化し、冷却して排出するという、環境に優しい仕組みが採用された。

ハノイ市都市環境会社のグエン・スアン・ヒュイン副総局長によると、近代的に廃棄物処理をしながら、それを燃料にして火力発電を行う施設は、同施設がベトナムでも初めてという。

施設は、ベトナムの環境対策を支援する日本政府のプロジェクトの一環として建設された。近年、工業からの廃棄物が急増し、埋め立て処理する土地が足りないハノイでは特に有効とされた。

プロジェクト施行を請け負った日立造船の古川実社長は「同施設は今年12月まで試験運転を行った後、ベトナム全土の電力網に電気を供給していく予定だ」と話した。