ベトナム産魚醤「ニョクマム」に有害物質含まれず 保健省が調査結果

ベトナム産の魚醤、ニョクマムに有害物質が含まれているとのうわさが広まり、ニョクマムの生産販売が影響を受けていた問題で、グエン・スアン・フック首相が保健省に行わせた調査結果が22日発表された。ニョクマムに有害物質の含有は確認されなかったという。

ベトナムでは最近、消費者保護団体が独自調査をもとに、一部の商品から「高濃度のヒ素が検出された」などと報告。さらには、「水と化学薬品だけで作られた偽ニョクマムが流通している」などといったうわさが広まり、消費者の間で不安と混乱が生じていた。ニョクマムはベトナムの食卓には欠かせない伝統調味料であるため、メーカーや小売店への打撃も大きかった。

フック首相はこの問題で、保健省、商工省、農業・農村開発省や関連当局などからメンバーを集めた学際的な調査チームを結成。ハノイ市と、ベトナム南中部沿岸のカインホア省、ニントゥアン省、ビントゥアン省、そしてホーチミン市の5つの省と市で、ニョクマムの生産流通過程での安全確認を行うよう指示していた。

チームは工場での大量生産品から伝統的手法による少量生産の手作り品まで、ベトナム国内のニョクマムの製造メーカー82社の210のブランドから、247種のサンプルを採取。複数の市場やスーパー、大型商業施設などから、無作為に商品を集めたという。
調査の結果、採取されたサンプルからは、無機ヒ素や鉛、水銀、カドミウムなどの有害重金属は含まれていなかった。また、商品はすべて魚と塩、認可された種類と量の食品添加物のみを材料として作られていたと結論付けた。一部でうわさとなっていた「水と化学薬品のみで似たような味に作り上げられた偽ニョクマム」は、発見されなかった。

食品添加物については、許可された添加物を、規定の容量内で使用することは認められている。商品に加えてよい食品添加物の種類の数については、制限はない。

保健省では、添加物について「国際食品規格委員会(Codex)が定める食品添加物の利用基準や、ASEAN諸国、その他の世界各国の基準に準じている」と説明。伝統的なビン詰めの製造手法ではニョクマムに微量の有機ヒ素が含まれるが、日々排出されるため、人体に影響はないとして、消費者に冷静な行動を呼びかけた。