バイクに同乗する際の子どもたちのヘルメット着用を促進しようと、交通安全啓発を展開するNPO、AIP基金とジョンソン&ジョンソンが、南中部高原地方のザライ省、東南部のドンナイ省、南中部沿岸のクアンナム省の子どもにヘルメットを5000個寄贈した。

写真㊤=ヘルメットをプレゼントされ、贈呈式典で笑顔を見せる子どもたち(ジャライ省)

少数民族が多く暮らすザライ省では先月24日、バイクなどに同乗する子どものヘルメット着用を促すイベント「子どものためのヘルメット・プログラム」が行われた。イベントには同省の小学校6校から関係者や先生、児童らが集まり、ヘルメットの寄贈を受けた。プログラムは今年9月から来年8月までの学校の1年度を通じて継続され、ヘルメットは3省の計21小学校に届けられる予定という。

ヘルメットの贈呈式には、政府関係者や地元警察のほか、ジョンソン&ジョンソンやAIP基金の関係者ら、少数民族の若者らで作るプレイク青年同盟などの地域団体が参加した。

ジョンソン&ジョンソン・ベトナムのジェイソン・キャロル社長は「地方の辺境地域では見過ごされがちだが、道路の安全はすべての人が享受しなければならないこと」とあいさつ。同社は過去5年間に、ベトナム全土で延べ4万5000個以上のヘルメットを子どもたちに提供してきた実績があり、「私たちの活動が地域の人々の生活に安心をもたらし、課題解決になってくれると考えている」などと語った。

ベトナム交通安全委員会事務局のチャン・フー・ミン副局長は「ベトナムはバイク利用者のヘルメット着用義務においては、早くから取り組んできたが、同乗する子どもの着用率は、まだ地域によっては非常に低い」と状況を説明。「子どもは事故や転倒の際に頭部の打撲が致命傷になりうるので、ヘルメットを着用させたい。このような支援活動は、わが国の将来を明るくするものだ」と話した。

プログラムは今年5月から、ドンナイ省などの3省でスタート。対象小学校の中には、校舎が市場や幹線道路などの近くにあり交通量が多いにもかかわらず、生徒のヘルメット着用率がわずか14.9%だった学校もあったという。そこで、プログラムでは、今後、ヘルメットを提供すると同時に、子どもや保護者に対する適切な指導ができるよう、教員に対する知識普及トレーニングも行う予定。学校を通じて、交通安全のルールやマナーを啓発するという。

ベトナムでは昨年秋、バイクの運転者だけでなく、同乗者にもヘルメットの着用が義務化され、違反者には罰金が科せられるようになった。しかし、違反した同乗者が14歳未満の子どもの場合は罰金が免除となるため、ヘルメット着用の浸透は鈍い地域もあった。関係業界や警察当局などはバイク事故の増加を危惧。ホンダ・ベトナムが2万個のヘルメットを学童らにプレゼントするなど、子どもの交通安全促進の活動が活発化している。