ベトナム国産の麻疹・風疹混合ワクチン 2017年から無料接種に使用

子どもに対する無料予防接種が拡大され、2017年から、ベトナム国内で製造された麻疹・風疹混合生ワクチン(MRワクチン)が新たに使われることになった。ベトナムで製造された同ワクチンは昨年3月、安全性や有効性が証明された。

この混合ワクチンは、ベトナム保健省傘下のワクチン生物製剤研究製造センター(POLYVAC)が製造。日本の国際協力機構(JICA)が支援する技術移転プロジェクトとして製造に成功したベトナム初の国産ワクチンとなる。

POLYVACのグエン・ダン・ヒエン所長によると、プロジェクトは世界保健機構(WHO)の基準に適合した混合ワクチンの国内製造を目指して、2013年に始動。これまでに総額7億円(約670万ドル)が研究費などとして投じられた。

製造された混合ワクチンは、昨年、ハナム省とホアビン省で、1歳から45歳までの健康な756人に試験的に投与され、保健省科学技術訓練局(STTA)により、健康問題などが無いことや免疫の有効性、安全性などが証明されている。

日本側で協力したのは、生物学的製剤の製造販売を行う北里第一三共ワクチン。同社は技術移転チームとして、ベトナムに延べ197人の専門家を派遣したほか、センター側からもスタッフ36人が実習のために来日した。ヒエン所長は「プロジェクトの成功はベトナムが積極的に疫病を予防し、国民の健康を守ることに大きく寄与している」と話している。

センターでは現在、年間約750本の麻疹・風疹混合ワクチンの製造が可能で、国内の需要を満たすことができる。将来的には、近隣各国への輸出も視野に入れているという。

その前段階として、ベトナムのワクチンの管理を行う国家検定機関(NRA)は2015年、WHOの国際基準を満たしているとの承認を獲得。これも、ベトナムで製造されるワクチンの有効性や安全性の証明となっている。

現在、ベトナムはワクチン製造ができる25カ国の一つだ。さらに、アジアで麻疹・風疹の混合ワクチンを製造できる国としては、日本、インド、中国に次いで4カ国目となる。