ベトナム国内企業の技術革新を支援

2006年に発効した技術移転法の改正が、このほど閉会した第14回国会で審議された。ベトナム科学技術省は、「時代遅れの技術がベトナムに流入することを防ぐ一方で、新技術の世界的な移転の潮流に乗ることができる」と改正の効果に期待している。

技術移転法は、技術移転の促進を目的としたベトナム初の法律で、2006年に発効した。さまざまな税制優遇措置についても定めており、ベトナム科学技術省によると、過去10年間にわたり、同法は技術革新や、新技術の国内への移転や導入の促進に貢献し、ベトナム製造業の競争力強化や経済発展をもたらしてきたという。

しかし昨今、国内外の社会経済が急速に発展し、劇的に変化したことにより、同法を実際の発展状況や現場の実情により合致するかたちに見直しする必要性が指摘され、今回の改正となった。

今国会では、同法の60項目すべてが見直しの対象となり、その結果、28項目が改正され、2項目が追加された。改正法では、国内の科学技術市場を発展させ、企業に新技術の採用や自社技術の革新などを促すものとなる。また、技術革新や研究などでもたらされた結果を新たなビジネスとして商業化する一方で、科学技術分野での政府の管理体制も見直す。

科学技術省が国内組織や企業から意見を聴取したほか、同法改訂委員会は海外の同じような法律を調査し、韓国や米国での例を参考にするなどして、ベトナムの条件や国際的役割などに適した草案を作成したという。

科学技術省傘下の技術鑑定試験評価局のド・ホアイ・ナム局長は「技術移転法の改正は、海外直接投資プロジェクトや公共投資事業などを介して、ベトナムに時代遅れの技術が伝えられるのを防ぐねらいがある」と強調する。ナム局長はまた、投資プロジェクトの技術面からの評価を義務付けた項目が加えられたことを高く評価した。

技術移転法の改正に関して国会に提出されたレポートによると、今回の改正に伴い、投資認可の付与や投資プロジェクトの段階での技術管理を確実化するため、建設法や公共投資法などの関連法の改正もあわせて提案された。

国会の科学技術環境委員会では、法律の改正後は、「企業内での技術革新がより容易になる」と期待。農業や健康保健、エネルギー、交通、情報技術などの各分野での技術移転の管理ができるようになるという。

科学技術省のチュー・ゴック・アインは、「技術移転法は、ベトナム国内および海外各国・地域からのベトナムへの技術移転を最適に行えるように見直しされた。これは、ベトナムの技術レベルの引き上げや、各民間企業の技術吸収力の向上につながる」と期待を示した。