ベトナムの魚醤「ヌックマム」 〝伝統〟の表示に7つの基準

ベトナム水産加工輸出協会(VASEP)はこのほど、ベトナムの伝統的な手法で製造された魚醤(ヌックマム)を認定する7つの基準を策定した。今後、この基準に適合した商品のみに〝伝統的ヌックマム〟の表示が許され、生産者の保護などに役立てられる。

伝統的「ヌックマム」の7つの基準は、VASEPとベトナム魚醤協会が制定。ホーチミン市で1月15日に発表された。基準は、消費者が商品を選ぶさいにわかりやすくなることを目指すほか、伝統的な手法でヌックマムを作り続ける食品加工業者を守る意味合いがある。

新基準では、使用する原材料をはじめ、製造の技術、試験方法、ラベリングや運送手段などの条件が規定された。「〝伝統的〟ヌックマム」と称してもよいのは、魚と塩だけを使い、9カ月以上の自然発酵を行ったもののみとされた。着色料や香料、防腐剤を添加したものや、希釈された魚醤などは、「伝統的」と称することができなくなる。

伝統的ヌックマムはさらに、1リットル中の窒素含有量に応じて、「特別」(1リットル中の窒素含有量35g以上)、「上等」(同25g~35g未満)、「1級」(15g~25g未満)の3レベルに分類されるという。

VASEPのチョン・ディン・ホエ会長によると、「基準設置の理由には、ベトナムの特産物である伝統的ヌックマムを守り、ベトナムの消費者だけでなく、世界に紹介するねらいもある。基準は、伝統的なヌックマムの生産施設が長年行ってきた基本的な生産基準をまとめ、新たな生産条件に適合させた内容となった」と説明した。

同基準の発行により、ベトナムの伝統的ヌックマム製造業者が今後も、高い品質を維持することが期待できる。また、消費者はどれが安心でおいしい商品であるか、選ぶ際の情報となる。

ベトナムの食卓に欠かせない発酵調味料であるヌックマムは、2015年には5億100万ドルの市場規模で、約7万トンの生産があった。統計総局のデータによれば、ベトナム人が毎年使うヌックマムの総量は約3億リットル。このうち75%は、大量生産されたヌックマムで、25%は伝統的ヌックマムだった。

ベトナム魚醤協会によると、工場で大量生産されたヌックマムの市場価格は1本1~2ドルであるのに対して、昔ながらの手法で作られた伝統的ヌックマムの値段は、1本9ドルにもなるという。