ベトナム、キャッシュレス社会へ前進 政府計画で電子決済を加速

ベトナム政府は、社会のキャッシュレス化を促進し、電子決済の浸透を加速させている。銀行カードなどによる電子決済を促すなど一般消費者の現金利用も減らす方針で、このほど、2020年までに現金利用を全決済の10%以下に引き下げ、年間2億件の電子決済取引達成を目指すプロジェクトを承認した。

電子決済、一般にも浸透
世界的な時流とともに、ベトナムの電子決済は昨年、急速に増加した。銀行カードやキャッシュカードなど多種多様な支払い方法が提案され、それらが安全で便利で、消費者のニーズにあったものに改良されるとともに、現金支払いにとって代わるようになった。

政府がこのほど承認した2016~2020年にかけての電子決済発展計画では、ベトナム国内で今後、約30万カ所の小売販売拠点で、年間2億件数の電子決済が行われるまでに成長すると予測している。

プロジェクトには、個人と小売会社との間の電子商取引や電子決済の促進も含まれる。計画ではスーパーマーケットや商業施設、現代的な通販サイトなどで100%電子商取引が可能とすることを目指す。また、水道や電気代金の支払い、携帯電話料金などの70%は電子決済を認める方針だ。これにより、実際に約半数の個人や家庭が、現金以外での決済方法を採用するだろうとみられている。

脱税防止にも一役
電子決済の利用増加を促すためには、複数の対策が必要だと政府は分析している。
個人や企業が電子上で商取引を行うようになるためのメリットやインセンティブを用意するほか、税金納入やサービス料金の支払いなどでも利用できるような政策変更など、行政の改革も求められる。

計画を予定通りのペースで達成するために、政府は、各種サービス料金の支払いを電子ベースに切り替えるよう促す適切な機構や政策を設けるよう、関係する省庁に要請したところだ。請求書などの発行と支払いの管理を強化するほか、脱税防止や電子記録などに関する法の規制も整備するという。

例えば、銀行口座を開設するための法的書類の見直しや改訂、補足などが一例として挙げられる。また、不動産やその他の高額商品を現金以外で売買する際の規制公布、また、小売業者側の決済システムやサービスの改良なども、今後の大きな課題となりそうだ。

また、2020年までに目標を達成するには、公共部門や行政部門での電子決済導入を加速することが不可欠だ。国家収入を電子管理するために、ベトナム国庫、税務総局、税関総局などの財政関連部局は、ベトナム国内の銀行システムとの間での情報交換を活性化させていくという。