ハノイ市人民委員会は、市内3カ所に大型の地下駐車場を建設することを決めた。首都ハノイを走行する自動車は年間約20万台だが、これまで駐車場の整備が遅れており、このプロジェクトが深刻化する駐車場不足の解決策の第一歩として、期待されている。

地下駐車場は、ハノイ市中心部のニャンチン公園、クアングア・スタジアム、トンニャット(統一)公園の3カ所に建設し、地下を有効活用する。それぞれ地下5階建てで、地下1階は商業施設やサービスエリアを設け、残る4階が駐車場となる。
建設費用の支出は公費を抑えて私企業の投資を呼び込む考えで、投資企業には最大で駐車場の約30%の販売権を付与するという。

ハノイ市当局は建築計画局に対して、文化スポーツ局と連携し、カックマンタンタム(8月革命)広場やコータン・フラワー・ガーデンにある既存の地下駐車場にならって、歴史的建造物の保存地区との境界を特定するよう指示を出した。

また、ハノイ市人民委員会は、投資計画局などに、施設の設計図の青絵図を描き、具体的な駐車料金を試算して投資政策を制定するなど、他の関係部局と協力した計画立案を指示。3月末までに市当局に報告するよう求めた。

年間20万台の自家用車が走行するハノイ市だが、公共駐車場は必要台数の約8~10%しか満たせていないことが悩みの種だった。駐車場所の不足に加え、多くの駐車場は近代化されておらず、貧弱なサービスしか提供されない。そこで、アパートや事務所などに個人的な駐車スペースを持つ人以外の多くの市民は、路上駐車を余儀なくされており、これが歩行者の往来を妨げたり、交通渋滞を悪化させたりする一因となっている。さらに昨今、違法な駐車場の急増も招いてもいる。

ハノイの目抜き通りであるチャンフンダオ通りやクアンチュン通り、バーチュー通り、グエンドゥ通り、チャンタイトン通りなどの主要道路では、駐車スペースを見つけるのは至難の業だ。都心の高層ビル群の周辺では、歩道に自動車やバイクなどが駐車・駐輪され、歩行者が行き来できずに車道を歩かざるを得ないといった危険や矛盾が生じている。

法律改正による違法駐車の禁止徹底や罰則の強化では、短期的な効果しかない。発展するハノイにとって、大型地下駐車場は、問題解決に向けた大きな一歩となりそうだ。