1時間に6~10トンの処理能力を持つ精米施設への電力供給技術は、ホーチミン工業大学によって考案、開発された。

ベトナムは、世界有数の米生産国だ。そのため排出する米のもみ殻の量も膨大で、年間1100万トン近くに上る。これらはよく川や水路に廃棄されたり、焼却されたりしているが、こうした事態が国の多くの地域で、重度の水質汚染や大気汚染を引き起こしている。

しかし他方で、もみ殻はリサイクル可能なバイオマスであり、このことが、商工省傘下のホーチミン工業大学、ブイ・チュン・タイン(Bui Trung Thanh)准教授と彼の同僚によって始められたプロジェクトの根幹にある。タイン氏は、「プロジェクトの目的は、すべての精米プラントの処理能力に十分なもみ殻を使って、連続的なガス化ラインを設計、製造、設置することだ」と語った。

また、発電に伴って発生する蒸気は、もみの乾燥用途に使うことができ、それによって現地の収入を増加させ、化石燃料の輸入の必要性も削減できる。

このガス化技術は、すでにインド、タイ、中国、オーストラリアといった多くの国で導入されており、また、ベトナムのいくつかの組織や個人もこの技術を研究し、農作物の乾燥に適用している。計画によれば、毎時6~10トンの処理能力を持つ精米施設のガス化システムは、6時間稼働するために1.5トンのもみ殻が必要であり、そうすることで、毎年450,840kWの電気を発電することができる。

タイン氏は、ガス化システムで使用される設備は国内で製造されており、現地生産の割合は90%に上ると言う。もみ殻の焼却により生産されるガスの品質は、世界の他の先進国と同等であり、さらに、このシステムに係るコストは、化石燃料の輸入コストの半分だ。ガス化システムは、ティエンザンフードカンパニーの精米処理工場No.1ですでに導入され、加えて、ティエンザン省とカントーの5つの企業も、このシステムを使用する契約に署名している。

プロジェクトは、伝統的なエネルギー源を使用して、精米施設へ電力供給するという考え方を変えた。そして、この技術は、大気中への二酸化炭素の排出を削減し、米の生産効率を高め、環境保護にも貢献する。