ベトナムは〝洞窟王国〟英国人探検家が魅力語る

世界最大の洞窟として知られるクアンビン省のソンドーン洞の発見者で英国の冒険家、ハワード・リンバート氏がこのほど、ハノイで開催された同省の観光PRで、25年間にわたる洞窟探検について振り返り、洞窟大国・ベトナムの魅力を語った。

ソンドーン洞は、世界遺産に登録されているフォンニャ=ケバン国立公園にある洞窟で全長約9㌔、最大高は200㍍を超える。英国の調査隊による調査が行われるまでは、地元以外ではほとんど知られなかった。

世界中で多くの洞窟を探検していたリンバート氏は、ベトナムでの洞窟探検を希望する手紙を国家大学ハノイ校に送付。これがきっかけで、ベトナム国内での洞窟の探検隊のメンバーとして迎えられた。

25年にわたって国内の辺境を探検し続けたリンバート氏は、とりわけクアンビン省での探検に多くの時間を費やした。最初に探検したのは、同国立公園内のフォンニャ洞窟だった。

「ベトナムは世界でもまれにみる偉大な洞窟群を有する国で、世界最大のソンドーン洞を最初に探検できた幸運に感謝している。今では多くの観光客が訪れることができるようになったが、当時の私たち3人の探検隊メンバーにとっては、はてしなく深い洞窟だった」と振り返る。


冒険家、リンバード氏のチーム

リンバート氏は同省で300以上の洞窟を発見。しかし、それらは、全体のわずか4分の1に過ぎないという。周辺にはまだ見ぬ美しい、ともするとソンドーンよりスケールの大きいような洞窟が存在していると確信している。

1999年以来、ベトナム国家大学ハノイ校と共同で活動しているリンバート氏は、ベトナムの若い人たちがもっと洞窟探検に参加すべきだという。そして将来、ベトナム人の手によって、すべての洞窟の調査が行われることを期待している。そのとき、英国洞窟探検協会は探検の装備やトレーニングを快く提供する、としている。

今後の課題は観光振興と環境保全の両立。「ベトナムは、ソンドーン洞など自然のままの手つかずの洞窟が残っている、世界でもまれにみる国だ。より多くの人々が、この偉大な洞窟の景観を楽しめるようにするのと同時に、洞窟の環境を守る保全活動にも取り組んでいかなくてはならない」。そして、「クアンビン省には、今も、発見される日を待っている多くの洞窟がある。今後もそれらの洞窟の探検を続けていきたい」と語った。