今年1-3月の首都・ハノイの大気汚染は、WHO(世界保健機関)の健康基準を78日も超えたとの調査結果を、ハノイに拠点を置くベトナム科学技術協会傘下の非営利組織、グリーン・イノベーション・センター(GreenID)がまとめた。

写真㊤=ハノイではかねてから、膨大な数の車やバイクによる大気汚染が非難されてきた(Photo by VnExpress)

調査では、自動車や工場などから排出される微小粒子状物質、PM2.5の濃度を計測。今年2月のハノイの濃度は、1立方メートルあたり、234マイクログラム(マイクロは100万分の1)で、WHOの上限である25マイクログラムの10倍近い数字を示した。

GreenIDのグイ・チ・カーン・ディレクターは、このほど開かれた会議で、「あらゆる状況からみて、大気汚染は『非常に健康に有害』なレベルに達している」と語った。ホーチミン市の数値はハノイよりもましだったが、WHOの上限を超える日が78日間もあった。

世界60を超える国々 のリアルタイムの空気品質インデックスをネット上で公開している「ザ・リアルタイム・エア・クオリティー・インデックス」(The Real-Time Air Quality Index on aqicn.org)の予報においても、ハノイでは「非常に健康によくない。外出はひかえるように」との予報がたびたび出された。カーン氏は、「今や、CO2の排出規制やクリーンエネルギー開発などによって、都市の大気汚染を食い止めることが必要な段階にあることが明らかだ」と話す。

ハノイ市では現在、500万台のバイクが走っており、さらに毎月1万9000台が増えている。人口1200万人のホーチミン市でも1日約140台の車と約750台のバイクが、新たに登録されている。昨年9月に発表された2011年15年の環境省のリポートによると、都心部での大気の質はハノイとホーチミン両市を筆頭に悪化している。

世界の死因ランキングにおいて、大気中の微粒子は、高血圧や喫煙、糖尿、高コレステロールに次ぐ5位になっている。昨年2月に発表された世界的な環境汚染調査によると、ベトナムの大気汚染は、インドネシアに次いで東南アジアワースト2になっている。米国を拠点とするヘルス・エフェクト・インスティテュート(Health Effects Institute、略称: HEI)などの報告によると、1990年に2万6300人とされていたベトナムの大気中の微粒子による死者は、2015年には60%増の4万2200人となったとしている。