大気汚染対策に力を入れるハノイが、今度は、たばこに対して〝宣戦布告〟した。すでに、観光地での禁煙を導入しているホイアンやハロン、ニャチャンなどの都市の例を参考に、まずはゴクソン寺院や文廟、タンロン遺跡での禁煙を検討するという。

ハノイ市は、今月31日に迫った世界保健機関 (WHO)が制定した世界禁煙デーと31日まで続くベトナム禁煙週間に、保健省やメディアとともに周知活動に力を入れている。ハノイ・オンコロジー病院では喫煙依存の患者に対する診療をすでに行っており、現在は、たばこの害を予防する効果的な方法に関する評価基準作りに向けて作業中だ。

禁煙の環境づくりには、タバコの害を予防したり、たばこを規制したりする法整備も欠かせない。今後は市内のタバコ販売店への査察も厳しくなり、禁煙エリアでの監視も強化、レストランやホテル、娯楽施設での違反者は罰せられるようになる見通しだ。

また、公共の場や企業に禁煙エリアを作っている30の地区、町などの運営委員会のスタッフの知識やスキルアップのためのトレーニングコースを作成するとともに、きめ細かな情報提供を計画している。

クァンニン省のハロン市が国内で最初に禁煙観光都市に踏み切ったのは2009年。当時、副流煙の問題がクローズアップされ始めたころだった。ホイアンでは2012年以降、すべての観光名所といくつかのレストラン、ホテルに禁煙の看板が掲げられている。

禁煙の動きは今後、国内全域にさらに広がっていくとみられている。がん診療科のあるハノイ市内の病院のデータによると、ベトナムでは毎年12万6000人の新たながん患者が見つかり、うち9万4000人が死んでいる。がん患者数で世界172カ国中78番目となっている。