台風2号ベトナム北中部直撃 タインホア省などで浸水など被害

ベトナム北中部を直撃した台風2号の影響で、タインホア省、ゲアン省、ハティン省で甚大な被害が発生している。これらの3省では、17日夜までに死者が8人、行方不明者が4人出ているほか、数十隻の船が沈没したとみられる。

写真㊤=タインホア市のレロイ通りでは、大木が根こそぎ倒された

◇タインホア省
タインホア省の17の地区では、家屋や農作物に被害が出た。また、樹木の倒木なども各地で発生している。

山岳部のランチャイン地区では、16日の夜から1時間に132ミリもの大雨が観測された。多くの河川が決壊したり、鉄砲水が発生したりして、農作物や花きなどが流され、同地区に住む52家族200人以上が避難を余儀なくされた。ランチャイン地区は、川の増水で交通網が遮断され、孤立状態になっているという。


激しい風と波に貨物船が流された(タインホア省)

タインホア省人民委員会によると17日の夜までで、避難者は全省で91戸359人にのぼる。土砂崩れの危険がある場所も多く、10軒の家屋が倒壊、282軒では屋根が飛ばされる被害があった。また6軒の家が水浸しになっている。

農作物への影響も心配される。同省では2100ヘクタールの水田と野菜や花き、果物などの畑約3000ヘクタールが冠水した。500カ所で送電線などが倒壊している。

◇ゲアン省

ゲアン省に残された台風の爪痕

ゲアン省では、台風の影響で30軒の家が倒壊した。3802軒が損壊し、学校の教室156室や640軒の売店で屋根が飛ばされた。また、強風のため、大木の倒壊が8本あったほか、550枚の看板が壊れたり飛ばされたりした。

大雨の影響で、5809ヘクタールの水田と2592ヘクタールの畑に大きな損害が出ている。飼育水に流された家畜は464匹、家禽は6856羽という。魚船1隻が沈没したとみられる。電柱も2500本以上が折れたり破損したりした影響で、何カ所かはまだ停電が続いている。

◇ハティン省
レベル10~11の強風により、多くの樹木や広告看板、電柱などが倒壊した。道路はどこも20~50センチの浸水となっている。倒壊した家屋は1軒、店舗は45軒。屋根が飛ばされる被害が多数発生し、家屋が45軒、学校4カ所のほか人民委員会のオフィスの屋根も破損した。

8.5ヘクタールの果樹園や220ヘクタールの森林で、多くの木が倒れた。農作物では、水田が3026ヘクタール、畑が1083ヘクタール、洪水の被害を受けた。また、3隻の魚船が沈没したほか、2隻が大きく損壊している。31.8ヘクタール水産にわたる水産物の養殖場で水かさが増えすぎ、被害が出ているという。


冠水したハティン省の道路