ベトナム南部、ティエンザン省で、国道1号線を通行する車両の運転手らの間で、ペットボトルなどに詰めた少額紙幣で料金を支払うという抗議行動が広がっている。利用のいかんにかかわらず、バイパス道路分の料金まで、国道1号線利用者に上乗せして徴収されることへの抗議だという。

トラック運転手などを中心とした利用者らの抗議は、現在ベトナムで流通する最小額紙幣の500ドン紙幣を料金分集め、ペットボトルに詰めて料金所で手渡すというもの。通常の料金支払いであれば、20秒で会計処理が終わるが、ビン入り料金の場合、スタッフがビンをハサミで切り開き、くしゃくしゃの紙幣を取り出して枚数を数えなければならず、1台あたりの徴収処理に約20分も費やすことになる。

今週の日曜日の午後だけでも、料金所の係員は10本の「ビン詰め料金」を会計処理するため、4時間も費やさねばならなかった。このため、時料金所付近は大渋滞となり、警察の援助を要請する事態になった。

この「ビン詰め料金」による抗議は、8月1日、ティエンザン省内の国道1号線に、新しい料金所が開設された直後から広まっていった。国道1号線は、ホーチミン市とメコンデルタ地方とを結ぶ重要な幹線道路となっている。

抗議する運転手らの多くは、「バイパス分の料金徴収は、バイパスの出入り口で、利用者のみから徴収すべきだ」と主張。運転手の一人、チャン・タイン・ズックさんは、「高速道路の維持管理費などは、すでに国道1号線の通行料といっしょに徴収されている。私たちが通りもしないバイパス道路のために、さらに上乗せして料金を請求されることは、とても理不尽だと思う」と話した。

問題のバイパスは、ティエンザン省内で高速道路約30キロメートルの再舗装を行い、地元都市の周囲に約12キロにわたって新設されたもので、2014年に工事が開始した。プロジェクトはBOT(建設・運営・譲渡)方式で行われ、投資した関係者の一人、グエン・フー・ヒエップさんによると、建設総額は約1兆3000億ドン(約5700万ドル)だったという。

新しい料金所は設置期間が6年半。1台あたり3万5000~18万ドン(1.54~8ドル)の料金が徴収されている。ベトナムの高速道路では、政府規定により、料金所の設置が70キロメートルごとと規定されているが、昨年7月にベトナム国会立法委員会で提出されたレポートによると、国道1号では、62キロメートルごとに料金所が設置されているとも指摘されていた。

これらのことを受けて、ティエンザン省人民委員会も、運輸省に対して、通行料金の引き下げを求めた。