ベトナム北西部の豪雨被害5000億ドン イエンバイ省など山岳部で

ベトナム北西部を襲った豪雨災害で、山岳部が大きな被害を受けたイエンバイ、ソンラ、ライチャウ省などで、復興が急ピッチで進められている。一方で被害の全容も明らかになってきた。豪雨による死者・行方不明者は45人、家屋流出や道路の損壊などで被害総額は約5000億ドンにも及ぶとみられる。

イエンバイ省など各省の防災部によると、8月1~3日に降り続いた豪雨の影響で亡くなったのは合計9人となり、イエンバイ省で2人、ソンラ省で6人、ライチャウ省で1人だった。また、行方不明者は、計24人(イエンバイ省12人、ソンラ省10人、ライチャウ省2人)、負傷者は12人(イエンバイ省9人、ソンラ省3人)だった。

この3省では、洪水などにより、196棟の家屋が倒壊した。土砂崩れは75カ所で発生し、25件がイエンバイ省、43件がソンラ省、7件はディエンビエン省で起こった。突風や強風により、屋根が飛んだ家は102棟で、カオバン省が37棟、ディエンビエン省で65棟だった。

農作物などへの被害も大きい。一帯の約130ヘクタールの水田で稲が吹き飛ばされたり水没したりして収穫できなくなり、ソンラ省で119ヘクタール、ディエンビエン省で12ヘクタールの水田が土砂崩れの被害に遭った。北西部で栽培が盛んなトウモロコシやピーナッツなどの畑でも、被害は124ヘクタールに広がった。大部分が、ソンラ省での被害(121ヘクタール)で、ディエンビエン省でも3ヘクタールが被害を受けた。

家畜や家禽への被害は、6省に及んだ。ソンラ省で40頭、ライチャウ省で29頭の家畜が死んだほか、養鶏などの盛んなソンラ省では800羽の家禽が死ぬ被害が発生した。

土砂崩れなどによる道路や交通の寸断も続いている。約13642立方メートルの土砂崩れが道路をふさぐなど、道路インフラへの損害も甚大だった。なかでもディエンビエン省の土砂崩壊は13442立方メートルにも及び、国道12号、国道QL279B、QL279C、QL4H号などの道路がふさがれた。イエンバイ省でも、国道QL32号が被害を受けた。

広い範囲にわたり甚大な被害が発生したことで、政府は全力で、孤立した地区の住民らの救援や物資の補給などにあたっている。保健省が、孤立した地帯の母子に衛生的な飲み水やビタミン剤、薬品などを届けているほか、伝染病のまん延防止などにもあたっているという。

また、NPO組織や個人なども各地でチャリティーを展開し、救援の物資や資金などを届ける活動を展開している。

写真㊤=孤立した村落への物資供給のため、仮設橋が設置された(ソンラ省ムオン・ラー地区)