賃金カットに運転手が反抗 大手バイクタクシーで騒動

配車アプリ「グラブバイク(GrabBike)」を運営するバイクタクシーのグラブベトナム社(Grab Vietnam)が運転手の賃金カットを決めたことに対し、一部の運転手がアプリのスイッチを切って仕事をボイコットするなど反抗。偽の予約を入れてサービスを混乱させる騒ぎまで起きているとの声もある。

写真㊤=ハノイ市で営業するグラブベトナムのバイクタクシー(VnExpress)

グラブベトナムがこのほど発表した新たな賃金ルールは、運賃のうち同社の取り分を15%から20%にアップする内容。この改定に対し、カウギアイ区のある運転手は「われわれ運転手には非常に重要な問題。ただでさえ料金は非常に安く、運転手の増加で競争も激しくなっているのに」とぼやく。「そもそも燃料や電話代も自分持ち。会社は一銭も負担してくれない」。この運転手は、今回の改定に不満を持つ他の運転手とともに、賃金カットが撤回されるまで、働かないと話していた。

一方、通常通りに業務をこなすある運転手は、「こうした状況は利用者にも影響していて、以前より運転手をつかまえにくくなっている。昨日は、予約を受けて現場に行くと、到着直前にキャンセルされることが3回もあった。きっとうちの運転手による偽の予約だと思う」と打ち明ける。この運転手は「会社が20%を持っていくのは、別にかまわない。もっと一生懸命働きたいし、他の仕事よりはずっといい。自分でスケジュールをコントロールできるしね」と話す。

ただ、ネット上のフォーラムを見ると、グラブベトナムから、米国系のウーバー(Uber)に会社を乗り換える運転手もいるようだ。こうした不満の背景には、業界の過当競争や、運転手の増加による客の奪い合いもあるとみられる。複数のバイクタクシー運転手がホーチミン市を中心に発行されているトイチェ(若者)新聞に語ったところによると、以前は1日15万~35万ドン(約720~1680円)稼げたのに、最近は運転手が増えて10万ドン(480円)前後しか稼げなくなっているという。

グラブベトナムでは、運転手に会社のルールを守るよう呼びかけるとしている。同社のグエン・チ・チュ・アン広報局長は「新ルールはすでに5月から新規のドライバーに適用されており、9月5日からはホーチミン市、ハノイ市の運転手全員に適用されることになる」と話している。