ベトナム伝統の絹素材を既製服に 若手デザイナーらがショー開催へ

「ミーア(My A)」と呼ばれるベトナム産の希少な伝統的絹織物を、既製服の素材に取り入れる試みを、ベトナムの若手ファッションデザイナーらが提唱している。絹素材を現代的なセンスで使ったファッションショーを来月、ホーチミン市で行う予定で、伝統素材の産地と消費者をつなぐ試みとして注目されている。

写真㊤=ショー開催を発表する若手デザイナーらとその作品

「ザ・ドリーマーズ(夢見る人々)」と題されたショーを企画したのは、若手女性デザイナーのハン・グエンさんら。ショーでは、ハンさんがミーア絹を使ってデザインした作品が発表されるほか、同じく若手デザイナーのヒュイン・ティエンさん、グエン・ミン・コンさんとジュウン・ダン・ズンさんの最新コレクションからも、ミーア絹を使った作品計75点を披露すると発表した。

企画は若い起業家らが立ち上げ、新人デザイナーやモデルらを支援する非営利目的の「AMIファッションショー」の支援で実現した。来月13日、ホーチミン市の展示施設「アドラ・ラグジュアリー(ホーチミン市フーニャン区ホアン・バン・トゥ通り198番地)でショーを開催する予定という。

紹介するのは、「ミーア」や「タンチャウ」と呼ばれる、ベトナム伝統のアオザイに使用される絹を素材に使いながら、気軽に身にまとえるようにデザインされた既製服というのがコンセプトだ。

今回の作品制作にあたり、若手デザイナーらは、絹織物の産地として数百年の歴史を誇るメコンデルタ地方、アンザン省ホン・グー地区を何度も視察に訪れたという。デザイナーを発掘するテレビ番組「プロジェクト・ランウェイ・ベトナム2014」で決勝進者の一人だったコンさんは、ミーア絹の美しさと品質のよさにひかれ、ショーに参加したという。実際に産地を訪れたことで、「絹織物の伝統工芸を継承するために力を注いできた産地の職人たちから、本当にたくさんのことが学べた」と作品に込めた思いを語った。

また、女性ファッションデザイナーのハン・グエンさんは、「この試みが、もっと多くのベトナムの伝統素材を既製服に使用する後押しになればいいと思う」と期待を語った。

ミーア絹は2003年、デザイナーのヴォー・ベト・チュンさんが自身のコレクション、「アジアの夢」で作品の素材として使用。母国の伝統素材であるミーア絹を西洋のエッセンスでアレンジした作品で、強烈な印象を植え付け、ベトナム伝統の絹織物が再評価されるきっかけとなった。