ホーチミン市で「メディカルツーリズム」本格始動へ 11の医療施設が登録

ベトナム市南部のホーチミン市が、観光と、健康診断や病気治療などを組み合わせた「メディカルツーリズム(医療観光)」に力を入れはじめている。このほど、市内の11カ所の公立病院と民間医療施設を、「医療観光向けヘルスケア事業を提供する施設」として登録した。

登録されたのは、国立薬学研究所▽ホーチミン市歯科・顎・顔面外科病院▽ツーズー病院▽ホーチミン市児童病院▽ホーチミン医療薬剤大学病院▽皮膚科学病院▽心臓研究所▽耳鼻咽喉病院など、11カ所の病院と医療施設。

写真㊤=メディカルツーリズムの登録施設のひとつとなったホーチミン市児童病院

当初は、保健省傘下の医療局が、メディカルツーリズムで取り扱うヘルスケア分野を指定する。当面、観光客が受診できるのは、一般的な健康診断、慢性病などの病気コントロール、漢方などを用いた伝統医療、心臓病などの治療、スキンケア、口腔衛生や歯科、小児科、婦人科、耳鼻咽喉科の治療としている。

ホーチミン市は、観光客誘致の呼び水となり、南部地域の医療水準の引き上げにもつながるとして、観光と医療を組み合わせた「メディカルツーリズム」に注目。国内外から患者の誘致を目指し、活動に参加する医療施設のインフラや設備、人材、健康診断実施のプロセスなどの基準を作って、医療観光向けの事業を行う施設の登録を募った。

今年の年末までには、施設や治療内容などを患者に紹介する「医療観光ハンドブック」を発行する予定。また、病院以外の緊急医療ネットワークに通じる特別な電話番号「115」を展開して、救急事案などに対応していく。

ホーチミン市はベトナム国内でも医療水準が高いとされる地域。市内で健康診断を展開している医療施設のうち、114カ所が公立や民間の大病院、318カ所がヘルスクリニックだという。また、これより小規模の民間の健康診断専門施設が、約6000カ所あるとされる。